君は誰のもの
仲良いな
▼ ▲ ▼
静かな放課後、一緒に1階へ降りて来た天童と名前。
「じゃねっ名前ちゃん〜」
「うん。あしたね。」
笑い天童に背を向けた名前は下足ロッカーへと歩いていく。
その腕を掴んだ天童。
驚いて見上げる名前にそっとキスを落とした。
「…ど…」
どうしたの?と問いかけようとする名前の唇に今度は深いキスをする天童。
「ちょ…ちょっと待って。」
「…名前ちゃん、やっぱり明日来ないで。」
弱々しい天童の声と同時に、彼は彼女の肩を掴んだ。
名前は天童を見上げて「なんで…どうしたの?」と不思議がる。
「…あーっやっぱり言う!!俺言っちゃうからね!」
「…え?」
静かな下足ロッカーに天童の大きな声が響き渡った。
部活があと少しで始まるという時刻を迎えた時、練習試合に名前を誘った訳を話し終えた天童。
名前はそれを聞いたうえでも「私は行く。」と言う。
「なんでわかってくれないの?俺が嫌なの!!」
「天童が嫌でも私だって嫌だもん!!」
「…お…お?」
名前がここまで大きな声で言い返したのは未だかつてなく、正直驚いた天童が引き下がる。
その瞬間に名前が訳をすべて話した。
「…ちょ、ちょ、ちょっと待って。」
「待たない、早く部活行こう。」
「まって、俺まだよく理解できてない…」
天童を体育館まで連れて行き、その前で立ち止まる。
「江波は、名前ちゃんに訳を聞くために俺に呼ばせたってこと?いやいや、絶対違うデショ?だってアイツ名前ちゃんのこと好きだもん。今も。」
「…それは天童の勝手な憶測でしょ?」
「はい、早く部活いくー」と天童の背を押す名前。
その二人を丁度通りかかった大平が笑顔で「ご苦労様。」と言う。
「あっ大平君っ天童連れてって!」
「ヤダよ!獅音!俺まだ名前ちゃんと話がっ」
必死に言ってくる二人を見て大平がニコリと笑った。
「仲いいな。」
prev | list | next
しおりを挟む