君は誰のもの
お誘い
▼ ▲ ▼
翌日、登校したばかりの名前を天童が呼ぶ。
「おはよう。」
「名前ちゃんに聞きたいことがあるんだけど!」
「何?」
天童の傍に歩みよった彼女を見て取り敢えず誘う。
「きのう聞きそびれたけど次の練習試合、見に来てくれない?」
「あー。やっぱり。」
ふわっと笑った名前を不思議そうに見る。
「“やっぱり”?」
「天童がどこか行ってから花が言ってたんだー。“練習試合見に来て欲しいって誘いじゃないか”って。」
本当にそうだったから…と話す名前。
納得した天童は「ってことは、見に来てくれんの?」と期待の目を向けた。
「見に行ってもいいけど…」と少し浮かない表情をする名前。
「なんで今回なのかなって。」
「…え。」
ぎくっとする天童。
まさか他校の人に“連れてこいって言われたから”なんて言えない。
名前は見せ物ではないのだから。
さすがに言い訳に困った天童の元に、救いの手が現れた。
「天童はいるか。」
「若利くん?」
牛島が教室に現れた。
彼が現れる時は必ず部活での要件だ。
「はいはーい!いるよ!」と牛島の元へ行ってしまった天童の背を見て難しい顔をする名前。
…ただの気まぐれで呼んだのかな?
彼ならよくあることだ、と思うとあまり気にすることでもない感じがしてくる。
名前は取り敢えず練習試合に行くことになったことが嬉しく心は弾んでいた。
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