shootingStar【sequel】 | ナノ
君は誰のもの
嫌味

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「だから今日名前ちゃんにそれとな〜く誘おうと思ったんだけど、花ちゃんに邪魔されちゃって言えなかった。言いたくないからいいんだけどネ。」

「どっちなんだよ…」

「でも連れてかないと江波に嘘つき呼ばわりされそうじゃんか〜。」


「それだけはゼッタイ嫌だ!」と拳を握った天童。
瀬見は呆れた顔を向ける。


「江波が覚の彼女のことを知ってるってことは…お互いに面識があるんじゃないか?」


大平の言葉を聞き瀬見も「俺もそうだと思うぞ。」と天童を見る。


「ほら、中等部の時バレー部だったんだろ?苗字。」

「……あ。」


走っていた足を止めた天童。
瀬見と大平も少し行ったところでそれに気づき足を止めて振り返る。

顔を上げた天童が「江波ってさ…セッターじゃん?」と当たり前のことを聞いた後、少し考えて目を瞑った。


「確か女子にも江波っていた気がするんだよね、俺。そんで、喋った事もある気がする…」


「女子にも?」と瀬見が大平の顔を見るが彼は首を横に振る。


「俺たちは知らないぞ?お前みたいに女子と仲良くねぇからな。…っつか、誰でも話しかけるから記憶に残ってねぇんだろ。」

「あ!!嫌味かな〜?英太くん。」

「敢えて言い返さないからな。」


再び走り出した三人。
白鳥沢はもう少しだ。


天童はこの時で、彼らについて深く考えることはやめた。

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