好きな人は大切に
話
▼ ▲ ▼
むっすーとしている天童。
それを見て吹き出す花。
「ぶっ…あんた、何怒ってんの?」
「花ちゃんには関係ない。」
「冷たいヤツ…」
天童は机に顔を伏せ、心の中で叫ぶ。
だってヤキモチ妬いてるなんて言えないじゃん!
脳裏に焼き付く、可愛い彼女の姿。
その姿が、一瞬でも自分以外の異性に向けられたものと知って…怒らない人はいるのだろうか。
「…。」
ホントは今すぐ自分の腕の中に入れて、キスしたい。
自分のものだって、安心したい。
アレ…俺、ここまで独占欲強かったっけ?
ガバッと身をあげた天童に、周りに座る生徒が驚く。
名前は相変わらず自席で外を眺めている。
じーっとその姿を見つめた後、今朝の光景を思い出し再び機嫌を損ねた。
「天童と喧嘩したの?」
お昼休み、今の今まで気づいていたものの黙ってその様子を伺っていた花が名前に問いかけた。
彼女は「うーん…」と難しい顔をする。
花は「言いたくないなら言わなくていいけどさ?早く仲直りしてくれなきゃ、話しかけにくいよ、二人共。」と言って昼食のサンドイッチを頬張る。
名前はそんな彼女を見て思うことがあった。
「…そういえば、花が言ってたことはもういいの?」
「あー、うん。話したら、えへへ…」
「…あまり深くは聞かないでおく。」
どうやら、カレシに悩みを話したようで、幸せそうな花。
そんな彼女を見ると、やはり、面と向かって思ってることを伝えた方がいいと思った名前は意を決した。
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