好きな人は大切に
花の様子
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教室、花はポーッとしていていつもの彼女ではないことが誰の目から見てもわかる。
天童はそんな彼女を見て「いつもそうだったら俺殴られなくて済むのにネ。」と呟いたが、それを聞いていたらしい花の掌が天童の腕を直撃した。
関係なかった…、と腕を擦りながら名前の様子を伺うべく、彼女の傍に身を寄せた。
横顔を見ながら、顔を赤くした今朝の彼女を思い出して口元が緩む。
可愛かったよねぇ…アレ。
俺のこと好きなんだなぁって思わされたわ。
フッと目を開けると、ばちっと音がしそうな程合った視線。
ゲッ、とした天童の視線はそのまま横へ泳ぐ。
「…花、様子変だよね。」
名前の席から離れたところにある花の席。
そこに座る彼女はポーッとしていていつもの明るく元気な彼女の姿とはまるで別人のよう。
天童は据わった視線を向けて「いつもの花ちゃんだったけど…」と言う。
「俺の予想だけど、多分カレシとなんかあったんじゃないっ?」
「なんか…何だろう?」
「あの様子だと…」と天童は腕を組む。
カッと大きな目を開くと「キスしたとかじゃない?」と人差し指を立てた。
「花が学校で…?」
「まぁ、花ちゃんがしたいと思わなくても、カレシがしたいって言えば花ちゃんもするっしょ?」
その話を聞いて、「確かに。」と頷く名前。
天童はニンマリとした表情で笑った。
「なんてカップルだ。」
お昼休み、いつも通りの花にすっかり戻った彼女が、名前と天童のした話しを聞いてなんとも言えない顔をする。
名前は「だって花そういう顔してたよ?」と言えば彼女はほんのり頬を赤くした。
わかりやすい…。
天童すごい。
そう思った名前は弁当を手にした。
「なんか、ダメだ…私。」
「?なにが?」
「名前と天童見てると、羨ましくなるんだよね。」
「?私と天童が?」
羨ましい…?
名前は首を傾げた。
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