▼ ご注文はお決まりですか?
「お前ね。どういうこと?」
「う…」
バイトの休憩室にいる目の前の制服姿の彼氏、黒尾鉄朗。
バレー部の主将をしていて、今日もバレー部だったはず…だが、もう終わったのか、目の前にいる。
それは、つい数分前のこと。
部活を終えた音駒高校バレー部の目立つ彼氏と夜久が店に入ってきた。
たまたま目の前を通った私は思わず二度見をして…夜久に「えっあれ?おい、彼女じゃん。」と指をさされ、その本人はジトーっとかなり不機嫌な視線を私に向ける。
足元から頭の上までを見ると、「何時までだ。」と一言。
「20時…」といえば、「待てねぇ、抜けろ。」なんて無茶なことを言うため、「休憩じゃだめ?」と聞くと「わかった。」とぶっきらぼうに返事をして去っていく。
そして、今に至る。
店の前では目立つため、人が少なく1人ずつ休憩に入っていたため、黒尾を休憩室へこっそり入れた。
だから今目の前に彼がいる。
「黒尾が部活だって言うから…」
「うん。バイトはしてもいーけども…」
じーっと彼が見つめる先は、彼女の制服だ。
「それはいけません。」
「えぇ…仕方ないじゃん…制服だし。」
「ダメ。お前ね、制服姿も嫌だっつったろこの前。」
なんて独占欲の強い彼氏だ、と思ったことを、そういわれて思い出した彼女は顔を真っ赤にする。
「…俺だけのご注文とっとけ。」
「ぶっ…」
こんな時ですら変なことをかましてくる彼氏。
真顔で言うからさらに面白い。
「俺は本気だぞ。」
「えっ…ちょっ…」
抱き上げられ、そのまま膝の上に乗せられてしまえば、恥ずかしいもなにも彼に逆らうことはできない。
「ほら、聞いてみ?」
「っ…」
「早く。」と耳元で囁かれ、耳たぶを甘噛みされてしまえば耐えることもできず名前は頬を赤くしながら聞く。
「ご、ご注文は…」
名前が聞き終わる前に唇に喰らいつく黒尾。
腰から、体のラインを伝うように上あがっていくその大きな手にドキドキしている名前を知ってか、知らずか、反応を見て楽しんでいるようだ。
「ヤラシー顔してるぞ。」
「…鉄郎のせい。」
顔を真っ赤にして黒尾を見下す彼女に、彼自身もドキドキしていた。
「見下されるのもたまには悪くねぇな。」
そういいながらも、手は器用に衣服を乱していく。
前が全開に近い状態になれば彼はつかさず背に腕を回した。
ブラが緩むのを感じると名前はガバッと黒尾から身を離した。
「なっ…駄目だよ。誰か来たら―…っん」
うるさい、とでもいうかのように、彼女の後頭部を自分へ引き寄せその唇を塞ぐと舌を絡ませて堪能する。
ブラウスとブラを肩から少しずらすと、そこへ口づける黒尾。
甘い声を漏らさずにはいられない名前は誰かがくるのではないかという危機感とともに、興奮を感じていた。
スカートの下を撫でる黒尾の手に、彼女の手に力が入る。
何とも言えない感情が声に出る。
「どうした?」
「んー…意地悪。」
黒尾の首に腕を回すと、仕返しと言わんばかりに「触って?」と耳元で囁く名前。
黒尾がくすっと笑うのを感じた。
「ずりぃな、ほんと。」
そういうと同時に彼女を抱き上げ、ソファーに押し倒す黒尾。
乱れた制服に、短いスカートからのぞく真っ白な太ももに視線を上げれば堪らなく恥ずかしそうにしている可愛い彼女の姿。
「いいねぇ、その恰好…そそるわ。」
「うー…エッチ、変態。バカ。」
「そんなエッチで、変態で、バカな奴のこと…欲してるのは誰かな?」
「っ…」
とてもじゃないほど、色気を醸し出す彼の声と素顔は、どんな女でもドキドキさせるには十分なものだ。
それに加え、愛おしそうに唇を撫でる彼を知っているのは私だけだと思う名前は、「鉄郎…」と名前を呼び、彼の頬に手を伸ばす。
黒尾はそれに摺り寄せるそうにし、鋭い視線を送る。
「っ…好き。」
口角を上げると、「もう、手加減できねぇぞ。」とだけ言えば、彼は彼女の唇を優しく深く甘く、塞いだ。
ご注文はお決まりですか?
甘い誘惑にそそられる
-END-