そして、お互い徹夜なのです。
「来た意味あった?」
「あったよっこれできょう寝れるよー」
ちょっとやり方を教えれば、できてしまった。
…ちょっとひっかかってただけだった。
まぁ、楽でいいけど…
「眠い…」
「えぇー」
当たり前だ。徹夜でゲーム、その後部活…眠いに決まっている。
久しぶりの名前の家だが、二人で会うときはだいたい彼女の家なため、慣れたように彼女のベッドへ移る。
そしていつものように腹這いにゲームをする研磨。
名前も慣れたように他の勉強をはじめる。
うとうとし始めた研磨は仰向けにゲームをし始め…限界に達した時、電源を落とし身を起こす。
真剣に勉強している彼女に一言。
「名前、ちょっと寝る」
「うん、わかった」
そう言ってペンをノートに走らせる彼女を見ながら考える。
「“わかった”じゃない」
「え?」
「名前も寝てないんでしょ」
「そうだけど?」
鈍感。こういうとき、ホントわかってくれない。
「一緒に寝よう」
「…ふふ」
「何」
絶対、嫌な事考えてる。
名前はいつもそうだ。
大抵“可愛い”って思ってる。
「嬉しいなぁって思って」
「…そういうこと言う?」
「言わなきゃ伝わらないよって言ったの研磨だよ?」
素直に言われると、照れる。
でも、嬉しいならよかったと思えるから、いい。
ベッドに並んで横になると、すぐ目を瞑る研磨。
その横顔を見る名前。
「ねぇ、研磨」
「なに?」
「キスしてい?」
「…?」
目を開いた研磨が眉間に皺を寄せて“何言いだすの?”と訴える。
「そういう気分になったの?」
「なったの」
「…そう」
もぞもぞと名前から背を向けた研磨。
どうやら彼はそういう気分ではないらしい。
ちぇ…と残念そうに彼とは反対へ視線を向けようとしたとき、左肩を掴まれた。
自然と視線は上へ向けられ、目と鼻の先に研磨がいる。
え?と声を出す前に唇が触れた。
「きょうはこれでゆるして…」
「……う、ん?」
素直に、そう返事することしかできなかった自分は、後々考えてみればとんでもないことを承諾してしまっており…
そのまま眠ってしまった研磨は相当睡魔と戦っていたようだった。
うん、絶対寝ぼけてたに違いない。
そんなことを考えながら、隣の存在に安心するように名前も目を閉じていた。
-END-