俺だけが知っているヒロイン自慢大会@
【 Love Game 】夜久VS結葵VS黒尾
「えー、では始まりました。俺だけが知ってる名前の可愛い一面(エピソード)自慢大会!司会は兄である苗字結葵が務めさせていただきます!」
「誰得だよ、コレ」
突然休み時間に始まった結葵の催し。
夜久が嫌そうに呟くと、彼の机をバンッと叩く結葵。
「名前の可愛いところを共有しよーぜってことで」
「お前だけだろ得すんの」
頬杖をつき、大きな口を開けて欠伸をした黒尾。
やる気のない選手たちを見て、結葵は黙ってはいられない。
「あー、そう。黒尾くん、いいのかなぁ?俺はやっくんよりも名前の可愛いところを存分に知ってるぞ?いいのかなぁ〜?」
「腹立つな、コイツ」
黒尾が呆れた表情を結葵に向ければ「いつまで経ってもそのシスコンキャラはぶれねぇな」と言う。
「キャラとか言うな!!キャラじゃねぇから!!素だから!!」
必死すぎてシスコンを否定し忘れてるぞ、とは言わずにただただ二人のやり取りを聞いていた夜久が「じゃあ兄ちゃんからどうぞ」と早く終わらせにかかった。
「タイトル“ひとつ屋根の下、ソファーでの名前”」
「気になるタイトルをつけるところがヤラしいな」
「ひとつ屋根の下って兄妹だろーが、禁断みたいに言うな」
「辛辣…」
大目に見てくれてもいいじゃねぇか、と結葵の嘆き虚しく訂正をさせられたので、タイトルコール再び。
「“兄のみぞ知る、ソファーでの名前!”」
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「ねぇ、結兄。」
はい、カット。ここが超かわいいポイント。
この呼ばれ方がすげぇ好き、大好き。
あれは、確かいつもの如く、部活から帰って来た名前が、いつものようにソファーに寝転がって雑誌を読んでた俺を覗き込むように見て来た時だった。
「魅力を磨くにはどーしたらいーんですか?」
ソファーの背もたれに両腕をついて上から見下ろす名前に固まる。
すげぇ、可愛いんですけどここからの眺め。
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「眺めてみねぇとわからねぇじゃん」
夜久がこれまたダルそうに結葵を見て言う。
「はい!細かいことは気にしなーい。じゃあ次黒尾!」
「言いたくねぇ…」
「もう暴露するしかねぇんだ。今ここですると何かしてたってなんでも許されるぞ」
「言ったな?」
「え?」
「“抱きついてきた名前”」
「は?」
そのタイトルには、夜久も黒尾へ視線を向けた。
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「えっと…どうゆう状況だ?コレ。」
夜久に毎日抱き着いている名前を羨ましがって、俺は名前に言った。
“礼としてハグくらいしてくれてもいーんじゃねぇの?”
優しい名前は、それを真に受けたらしく、突然抱きしめられ、顔を上げてニッと笑った名前。
「お礼です!」
「…え。」
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「すげぇ、可愛かったよアレ」
「お前、ずりぃ…俺が名前と血がつながってるからってできねぇことしやがって…」
「抱き着いてきたところは別にいーんだ」
「よくねぇけど、やっくんの話が聞けるから許す」
あ、と口を塞ぐ結葵に呆れた顔を向けた黒尾。
そう、すべてはこの時のために結葵はこのような大会を開催したのだ。
わかっていた夜久はあまり気にする素振りを見せずにこの嫌な大会を早く終わらせようと思った。
「んー…じゃあ、“抱き着いてきた名前”」
「ん?どこかで聞いたような…?」
「お前のタイトル丸パクリされてんだよっやっくんの適当さがすごい」
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「夜久先輩?」
声をかけられ視線をやればぎゅっと抱きつかれる。
フワッと彼女の香りがして確信する。
「名前?何で…」
「先輩に無性に会いたくなって…」
へへ、と照れたように笑う名前。
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「黒尾みたいだし…俺はもっと濃厚なやつが聞きてぇ!」
「濃厚なやつを聞かせられるわけがねぇだろ?それは彼氏の特権」
「ずるい!俺も彼氏になりたい!」
「アホ」
「ではここで、結果発表ー!見事、一番名前の可愛い姿を知っている者に選ばれたのは…」
黙って結葵を見つめる夜久と黒尾。
二人は結果をわかっていた。
「この俺!!」
「はいはい、シスコン」
「知ってた」
「…ほんときょうのお前ら辛辣過ぎる…」
-END-
次回はshootingStar編!