Joker Lover | ナノ
10 of Clubs
同意を得る

◆ ◇ ◆


一方、三年の教室に向かう黒尾と夜久、海の三人は真剣にマネージャーの話をしていた。


「だいぶマネージャーらしくなってきたよな」

「バレーのルール知らなかった頃の苗字とは大違いだな」

「残って教えてたな…でも、まだ聞かれること結構あるぞ?」


だってまだ何ヶ月だよ?と、夜久が苦笑いをしながら黒尾に言う。
現在は9月中旬。
ふと、もうすぐ文化祭だなと全く関係のないことを考える。


「2ヶ月くらいか?」

「まだわからないことだらけだろうな」


黒尾の返答に海がそう言えば、夜久が「だよな」と彼を見上げた。


「やけに濃厚な日々を過ごしてきたので大分前から居る気がしてました」

「それはお前自身でだろ?」

「一目惚れだったもんな」

「それは言わない約束だ」


海と顔を見合わせて小さく笑う夜久を背後に、黒尾は振り返りながら問いかける。


「可愛くなっただろ?」


冗談なのか本気なのか分からないその問いかけに夜久は適当に答える。


「はいはい」

「でも黒尾、最近他の女子と関わってないよな」

「他の女子って…」


海の発言に呆れた顔をする黒尾。


「突然一途になりだすもんな」

「進化したみたいに言うな。俺は元々一途だ」


そういいつつも、黒尾は少し考えていた。
二人の言葉の意味をだ。


確かに、名前と出会う前までは女子とよく話をしてたし、よく声をかけられた。今は減ったな。
俺と名前が付き合ってることが広まったか?


んー…と悩みながら教室へ入っていった黒尾の背を見ていた海が夜久に聞いた。


「この前女子と話してるところ苗字に見られたんだって?」

「あーそう。びっくりしたわ。キスしてるように見えたらしい…あ」

「ん?」


以前あった二人のいざこざを思い返し、夜久は苦笑いをする。
しかし、ふと思ったことがあった。


「でもなんで、あの時、黒尾は名前を呼んでたんだろう…?」

「さあ?ただ会いたかったとか?」

「大いにあるなそれ」


適当な二人は各々教室へ向かっていった。


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