4 of Clubs

誤解

◆ ◇ ◆

「名前の友達の話。」と研磨が言えば、黒尾は「へぇ…」と研磨を見る。


「可愛いの？」

「え。」

「うーん…」


戸惑う研磨と、黒尾の問いかけに首を傾げて岸を思い浮かべる名前。


「可愛くないと思う…」

「まぁ動物みたいな感じです。」


研磨と名前が同時に異なる事を言って、顔を見合わせる二人。


「名前、それじゃ誤解する。」

「誤解？」

「だって、可愛い動物だっているし…」

「えー…私が言いたかったのはサルとか…」


二人で話しをする姿に黒尾が小さく笑った。


「お前らいつの間にそんな仲良くなってた？」

「え…いつからだろう…？」


研磨の顔を見て考える名前だが、研磨は視線を逸らす。
その様子を見ていた黒尾が「じゃあ始めるぞー」と体育館にいる部員たちに声をかけた。





「で、何の話してたんだ？」

「…やっぱり、おれに聞くんだね。」


休憩時、ボールを持って端でバレないようにしていた研磨だったが黒尾にニコニコとした笑みを向けられながら近づかれれば逃げることもできず口をゆっくり開いた。


「名前の友達、同じクラスの岸って人なんだけど…」

「おう？」

「男だから、好意とかないのかと思って。」

「お…え？男？誰が。」


ボールを見つめたまま研磨は「岸。」とだけ言う。


「…おい、名前。」

「え。」


本人に聞くのが早い、と言わんばかりに名前へ歩み寄っていった黒尾の背を見て研磨は思った。


ゴメン、名前。
全部言えなかった。



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