Joker Lover | ナノ
4 of Clubs
信じるって決めた

◆ ◇ ◆


「で、黒尾先輩と良い感じなの?」

「うん。付き合った。」

「へぇ〜付きあ…ったぁ?!」


さっきからうるさい蓮耶を周りのクラスメイトが等々「うるさい、岸。」と注意し始めた。


「本当にうるさい。黙って。」

「わかった。静かにする。静かにするからどうしてそうなったかを教えろ。」


名前はどうしてそうなったかと言われてもなぁ、と夏休みのことを振り返る。


そう言えば、黒尾先輩って私のこといつから好きだったとか言ってたっけ…?


気づけば「好きだ。」と言われていたな、と今の今まで深く考えてこなかったことに驚かされる。


「私もまさかこの夏休みの間に黒尾先輩と付き合うことになるなんて本当に思ってなかったから、まだ信じられてないところもある。」

「だよな〜お前があの黒尾先輩と付き合ってるなんて知った黒尾ファンは激怒するだろうな。」


キッと睨む名前に「嘘じゃん。」と身を引く蓮耶。


「でも…本当、なんで私なんだろうって思うことはあるよ。」

「…アレじゃん。遊ばれてんじゃね?」

「…。」


また睨まれると思っていた蓮耶だったが、彼女は身動き一つせず「やっぱり?」と首を傾げた。
そんな姿を見た蓮耶が眉間に皺を寄せる。


「黒尾先輩って、一時女子とっかえひっかえしてるって聞いたー」

「そうなんだよね…でも、夏休み中そういう話一切聞かなかったんだよね。合宿の時も他のマネージャーからそんな話聞かなかったし…部活凄い頑張ってるよ?」

「合宿中に他校のマネージャー頂いてたら退部させられっかもだろ。」

「さすがに手出さないよね。」


蓮耶の話を聞いていると、小さくなっていた不安が大きくなり始める。


「でも真面目に部活頑張ってんなら、モテるからチャラい人に見えるだけかもじゃん。俺は関わった事ねぇからチャラい人ってイメージ持ってるけど…名前はどうよ。」


頬杖を突きながら名前の背中を見る蓮耶。
背後からの問いかけに名前は「私は信じてみようと思うの。告白されたときにそれは決めたの。」と言った。



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