Joker Lover | ナノ
Jack of Hearts
再開

◆ ◇ ◆


「で、黒尾のこと好きなの?」

「えっ?」


部員達のドリンクを作っている最中、手を動かしながら話す内容といえば恋の話のようだ。

名前は手を話しそうになったボトルをしっかり握りしめ「それは、また、今度で…」と言う。

ニコニコとした表情で宮ノ下は「ということはつまり、そういうこと?」と結局問い詰められ、どう答えようかと考えていたところに、「あの。」と声をかけられた。


名前は固まったように、動きを止めて瞬きを数回する。
その行動は、視線の先の彼女も同じだったようで、次の瞬間、


「「あぁっ!」」


とお互い指をさした。


「な、なに?」と関係の無い二人は名前と彼女を戸惑うように見る。


「紙、落とした人!ですよね?」

「ね、音駒のマネージャーさんだったんですか?!すみませんっあの時は本当にご迷惑をっ」

「えっと…あの時はまだマネージャーじゃなかったんですけど…いろいろありまして…」


谷地と名前の話す姿を見ていた清水と宮ノ下は「知り合い?」と問いかけた。




名前と谷地の話を二人にした後、全てのマネージャーがちょうど集まり、合宿のことを新たに聞いた。

黒尾に聞いた話はマネージャーの仕事とは違う話だったため、彼女たちの話すことにはとても重要なことが多く含まれていて勉強になる。


しかし、女子高生には変わりないのだ。


「名前ちゃんは黒尾が好きなんだってー。」

「「へぇ〜そうなんだぁ〜」」

「いやっ…そういうわけでは…」


他校のマネージャーたちにニヤニヤとした笑みを向けられながらも首を振る名前。
さぁこれから本題に、と企んでいたマネージャーたちの元へ部員からヘルプの声がかかった。


「じゃあこの話はまた後ほど。」

「頑張ったご褒美にしよう!」

「…。」


体育館へ向かう他校のマネージャーたちの背を見て名前は考える。


なんで、私が黒尾先輩のことを好きだと思ったんだろう…?



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