Joker Lover | ナノ
Jack of Hearts
人見知り

◆ ◇ ◆


話が終わり黒尾と共に体育館へ向かう。
その途中、黒尾が「あ。」と思いついたように名前を見た。


「赤葦とはどうしたんだよ。」

「…どうしたって…?」


首を傾げる名前。


「気になってたんじゃなかったのか?」

「…はい。カッコイイ人だなって。」


そう言って黒尾の表情を確認するように見上げる名前。
彼は「ふーん。」と少し口角を上げる。


「お前も見た目重視なタイプか?」

「…少し話しましたけど見た目を裏切らない人ですよ、あれは。」


確信がある。とでも言うようにハッキリ言った名前に黒尾はふっと笑った。


「まぁ、裏切らないだろうな。赤葦だし。」

「黒尾先輩も認めるイケメンですか?」

「あーそーね。」

「…。」


適当だなぁ、と内心思う名前。
体育館の前に着けば、そこで知らない顔ぶれの面々を見て黒尾のシャツを掴んだ。


「木兎の時も隠れてたけど…人見知り?」

「そうですよっ女子なら大丈夫ですけど…男の人は…」


コソコソ話す名前と黒尾を見て、近づいて来た他校の一人が黒尾に声をかけた。


「黒尾ー!」

「おう。」


その声を聞いて、目を見開く名前。


女の子の声だ。


そろっと黒尾の身から顔を出せば、声の主と目が合った。


「おぉ?女の子?だれっ?」

「ウチのマネージャーになったんだよ。よろしく頼むわ。」

「何年?」

「二年。」


「うわぁっいいなぁっ私も後輩の女の子が欲しい!」と名前を見て目を輝かせているその人は、生川高校のマネージャー宮ノ下だ。


「でもなんで隠れてるの?」

「人見知りなんだと。」

「人見知り?またそこが可愛いね。」


名前を気に入った様子の彼女に手を引かれて連れていかれるはマネージャーが集まっている場所。

そこで、名前はある程度こなす仕事内容の説明を受けた。


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