Love Game[完結] | ナノ

戻った


「…夜久くん。」

「ん?」


部活の準備中、研磨が夜久に声をかけ指さす。


「…アレ、いいの?」


研磨が凄く嫌な顔をして夜久に問いかける。
指の先を辿れば、そこにはわらわらと見守っている1年の姿と…


「テメェ黒尾!その手離せ!」

「え?何で?」

「何でじゃねぇんだよ…抱きしめていいとは言ってねぇ!」

「ちっせぇ男だな〜やっくんは。」

「んだと…」


ぎゅっと彼女を抱き締める黒尾の姿があった。

ズカズカと黒尾に歩み寄っていく夜久。

ガシッと腕を掴まれ制止する夜久と黒尾。
抱き締められていた時穏の身が自由になる。


「ダメっすよ。喧嘩は!」

「「……くっ…」」


長身腕のリーチが長い1年に止められ情けない気持ちが募っていく二人の姿に海は微笑む。


「…ありがとうございます。海先輩。」

「止めたのはリエーフだから。」

「いや…言ったの海先輩ですよね?」


苦笑いする時穏の姿を見て夜久と黒尾はため息をついた。


「マネージャーなんだから部活ではいいじゃないの。」

「その顔やめろ。」


ニヤニヤする黒尾を睨む夜久。


「なんか、前の二人に戻りましたね。」

「よかった。」


犬岡と海が言い合いをする二人を見て安心する。


「あ!研磨っ」

「な、なに。」


時穏は研磨を見つけるなりガバッと抱き着く。


「は…?」

「ありがとう。」

「…?なにが…?」


身を離した時穏は研磨に「全部。」と言う。


「今日だけは誰にでも抱き着いてOKが夜久先輩から出たので感謝の気持ちを込めて抱き着きました。…どう?久しぶりのハグは?」


時穏にげんなりとした表情を見せた研磨は「気持ち悪い。」とだけ言って彼女から距離を取る。


「…もうしないから!嫌いにだけはならないでーっ」

「うるさいから嫌い。」


ぴしゃりと放たれた一撃に時穏は項垂れた。


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