Love Game[完結] | ナノ

ヤバイ感じがする


「おい、時穏ー。アレ?あいつどこいった?」


体育館、黒尾がマネージャーの姿を探している様子を見た犬岡が「時穏さんなら、さっき誰かに呼び出されてどこかへ行きました!」と答える。

黒尾は「呼び出し?」と眉間に皺を寄せた。


「アイツも傍から見りゃ可愛いからな…」


なんて、まるで他人の見方をしているかのような言い方をする黒尾に、研磨が何を言っているんだ、という顔をしながらその背に向かって言った。


「クロから見ても可愛いくせに。」


研磨を見た黒尾は苦笑いをして「研磨から見た時穏はどーよ?」と聞く。
聞かれた本人は「時穏の良さは一生わからないと思ってる。」と言った。


「…俺をバカにしてるのか?」

「…ウチには時穏を好きな人が二人いるからね。わからない方が、安全。」

「ホントにそう思って言ってないだろ。」


幼なじみの言い合いが繰り広げられているところに彼氏が現れた。


「言い合いしてねぇで中入れば?」


しっかりしている彼の背を見つめて研磨は思った。


「夜久くんとクロなら、おれ、絶対夜久くんと付き合う。クロうるさいし。」

「最後の一言いりますか?」


時計を見て部活まで時間があることがわかる。


まさかとは思うが…。


チラッと夜久を見る黒尾。
本人は海と何やら話している、普段通りだ。


「研磨。」


そばにいた研磨に声をかけ、その場を離れた。





「なぁ、海。時穏見てねぇ?」

「そいや、きょうはまだ見てないな…」


不思議に思ったのか夜久が当たりを見渡す。


「研磨、黒尾は?」


体育館の端で座っている研磨に声をかける。
研磨は顔を上げ「クロなら…時穏探しに行った。」と体育館の外を指さす。


「なんか、ヤバイ感じがするって言ってた。」

「ヤバイ感じ?」


眉を顰め、首を傾げる夜久。


ヤバイ感じって…なんだ?


考えても考えても出てこない。
何がやばい…?


「海。」

「ん?」


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