Love Game[完結] | ナノ

OFF


日曜日、とても久しぶり、かつ貴重な1日オフの日が来た。

のにも関わらず…


「…暇。」


時穏はいつも結葵のいるソファーに寝転んでテレビを見ていた。


今頃、夜久先輩は結兄とサッカーか…。
さぞカッコいいんだろうな。


なんて気づけば彼のことばかり考えている。


昨日も朝の始まる前から、相変わらず夜久と喋れなかった時穏。


黒尾先輩と夜久先輩が今や逆立場になりかけてる…。


といっても、黒尾には抱き着けはしない。

ただ言葉を交わす回数が黒尾の方が多いだけだ。


「黒尾先輩も相変わらずカッコいいけど…」


夜久先輩は一段とカッコよく見える。この頃。


「困る…。」


ほんと、何を今更…って思う。
夜久先輩に抱き着いていた時を思い出すと恥ずかしくなる。


好きになると、こうも意識をしてしまうものなんだな、と感じる。


テレビではクイズ番組をしていて、脳はぼーっとしていて全く解けない。
携帯を手に取ってゲームなんかをしてみても、全く楽しくない。


「うぅ…つまらない…」


そう呟くと、時穏は目を瞑った。




夕方、結葵と夜久が揃って榎本宅に着いた。


「榎本ん家は3回目だな。」

「1年に1回ペースだな。」

「じゃあ今年は今日で最後だな。」

「頻繁に来るようになるかもしれねぇのに〜?」

「それはお前のただの妄想だろ。」

「わからねぇぞ〜?」


そんな会話をしながら、玄関に入った二人。
リビングの灯りがついていることを確認した結葵が「時穏いるわ。」と呟く。
夜久がピクリと反応したのを見て、ニヤニヤする。


「やっくん〜」

「何だよ。思ってることあるなら言えよ。」

「え〜?ないね。」


夜久の顔を見てニコニコしながらリビングに入る結葵の背を見ながら、その背を追うように入る。


「お邪魔します。」

「…時穏〜?夜久来たぞ。」


そう言ってソファーの背から声をかける結葵だが、「あれ。」と気の抜けた声が夜久の耳に届いた。


「何?」

「いや、寝てる。」

「ずっと家にいたのか?」

「みてぇだな。」


結葵は「俺、上(2階)からタオルケット取ってくるわ。ちょっと待ってて。」と夜久に声をかけてリビングを出ていく。


そっと彼女の眠るソファーに近づき、覗き込む夜久の視界には何とも無防備な彼女の姿。


「…無防備すぎ。」


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