Love Game[完結] | ナノ

気になるお互い


「…。」


部活があと少しで終わろうとしている。
海と親し気に話す夜久をこっそり見る時穏の目の前にリエーフがにゅっと現れた。


「っ…びっくりした…息止まるかと思ったじゃん!」

「時穏さん、ちょっと練習付き合ってください!」

「え?私?」

「はい。」

「何かの間違いじゃない?」

「はい?」


リエーフは時穏に首を傾げるも「とにかく約束しましたからね!」とボールを掲げて研磨の元へ行く。


「研磨さん!トス上げてください!」

「え…無理。」

「無理って何ですか。」


研磨はものすごく嫌そうな顔をしてリエーフを見上げている。


「嫌だよ…今日は帰りたい。」

「何でですか?」

「ゲーム、発売日だから。」

「?何のスか?」


研磨に質問攻めをするリエーフを呆れた顔で見る時穏の元に、主将の姿が現れた。


「最近夜久とどうなの?」

「へ?!」


驚いた声と同時に口元を両手で押さえる時穏にふっと笑う黒尾。
その顔は不敵に、何か企みを含んでいるような顔。


「どうって…何ですか?」

「いや、抱き着いてるとこ見てねぇから…あんま喋んねぇし。喧嘩でもしてんのかと思った。」

「いや…そうではないんですけど…」

「けど?ほぉ…なんか訳アリなんだな?」


ニヤニヤし始めた黒尾に「うるさいです。」と睨む時穏。

その様子を見ていた夜久に海が耳打ちする。


「あの二人仲良くなったね。」

「!!そうかぁ?前と変わんねぇだろ。」

「そうねー。」

「…何だよ。」

「恋だねぇ。」

「…。」


海に何も言い返せず堪える夜久。
でも、再び視線は彼女を捕らえる。


「時穏、まだ黒尾のこと好きなのかな。」

「うーんでも、あの顔は吹っ切れてる感じするけどな。」


言い合いをする二人を黙って見つめる二人。


「どちらかと言えば…夜久とあんまり喋ってないよな。」

「…。」


夜久は海の鋭い言葉にあえて何も言い返さなかった。

これ以上何か言っても、海には楽しまれるだけだと悟って。


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