一番近くの人
購買に着くと、目的の物をそれぞれ購入し、教室へ戻る2人。
「俺、時穏は夜久のことが好きなんだと思うことがよくあるぜ。」
「何だよ突然。」
「だって、いつもカッコいいってアイツうるさいんだぜ?」と嫌そうに言う結葵。
夜久は見つけられれば抱き着かれ「きょうもカッコいいです!」と言ってくる時穏を思い出してふっと笑う。
「俺にも言ってくれるよ。毎日、飽きもせず。」
「よく耐えてんなぁ〜女として好きなのに?」
やらしい目で見てくる結葵の足を軽く踏む。
「いだっ」
「あ、わり。踏んだ?」
「わざとだろっお前っ俺は足が命だぞ!」
「黄金の左足か?」
「違う。右足だ!」
「どっちもちげぇだろっ」
なんてくだらない言い合いをしている二人の目の前に現れたプリン頭の研磨と、眉間に皺を寄せる時穏の姿。
まず気づいたのは研磨で、その視線を見て時穏も視線を向けた。
「夜久くん。」
「よー研磨。お前ら仲良いなぁ〜ほんと。」
夜久が研磨に笑顔を向けると時穏を見る。
時穏はきょとんとした顔で夜久を見つめる。
「夜久先輩、きょう何か違う…?」
「え?」
「何ソレ。きょうはいつも以上にカッコいいですってか〜?」
結葵の茶化しにムッとする時穏。
「いこう、研磨。」と研磨の先を歩いていく時穏。
夜久は首を傾げた。
少し離れたところで研磨に「ねぇ、夜久先輩違ったよね?」と問いかけるが研磨は興味なさげに「そう?」と言うが時穏は、う〜ん。と唸りながら目をパチッと開けた。
「いつもより、カッコいい。」
「またそれ?いつもじゃん。」
「もう夜久くんと付き合えば?」なんて言う研磨に時穏は「夜久先輩は私を妹としか見てないでしょ?」と言う。
「えー…案外…」
「?」
研磨に視線を向けた時穏。
「一番身近な人が、一番大切に思ってくれてるんだと思うよ?」
その言葉に時穏は平然と答える。
「研磨のこと?」
「…夜久くんの話してたよね?」
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