様子が違う
「時穏さん!」
「んー?あっ、ちゃんと振るんだよ!」
リエーフがドリンクを取って隣に立つ。
その姿を見て慌てて振るように伝えた。
「時穏さんのドリンクおいしいです!」
「いや、誰が作ってもおいしく作れると思うよ?」
「え?そうですかね?」
リエーフの背後からぞろぞろとドリンクを求めてやってくる部員たち。
彼らに気付かずリエーフは時穏に「俺は時穏さんが作ったものには愛を感じます!」と声を大にして言う。
それを聞いた夜久がリエーフの背を叩いた。
「いてっ」
「バーカ。何言ってんだよ。」
「夜久さん…」
痛いじゃないですか、と食ってかかろうとするリエーフを無視して時穏の並べて置いてあるボトルを手にした。
「あ、夜久先輩!それちゃんと振ってください。」
「…時穏さ。」
「…はい?」
夜久に説明している言葉を聞いてか、部員たちは各自ボトルを手にして振っている。
「いや、やっぱり何でもねぇわ。」
「…?」
ニッと笑うといつもの夜久に戻った。
一瞬、表情から真剣さが伝わり身に緊張感が走ったが、
「…何でもないのか。」
気のせいだったのかな、と思うことにした時穏。
その様子を黒尾が遠くから見ていた。
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