赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

おかしい


最近、私はおかしい。
前だって考えていなかったとは言えないが、今よりは全然マシだと思う。

だって…ううん、絶対おかしいんだ。


「名前さーん?移動ですよー?起きてますかー?」

「うん、行こう」


友達の心が呼びにきてくれて、立ち上がる。


「まーた孤爪のこと考えてるの?」

「…うん」


彼女たちは、不思議に思っていない様子。
素直に頷けばニコニコして、可愛いなぁ名前は、と言われるだけ。

でも、本人は違ったのだ。


「私、変じゃない?」

「変じゃないよー。好きな人のこと考えるほどその人のことが好きな証拠でしょ?」

「んー…でも…」


前より、明らかに考えている時間が長くなったの。
そう、伝えようとしたところで、心の目の前に現れた同じクラスの男子によって話は中断してしまった。

モヤモヤした気持ちと、考えていたい気持ちが彼女の中で葛藤している。


「あ、けん…」


春高予選が目と鼻の先で、部活はバタバタしていてまともに話す時間がない。
話してもバレーのことばかり、休みもなければ二人で会うこともない。
せめて、学校では話したい。
その気持ちが強く、廊下で姿を見かけると声をかけようとはするが彼は最近女の子とよく話している姿を見かける。

それを見て、黒いものがモヤモヤと増していく。


ダメだ、落ち込むな。ヤキモチなんて…


そう言い聞かせて、日々を過ごす。


夢で見た。
柔らかい笑顔で、名前って優しい声で呼んでくれる姿に何もかもが良くなってく瞬間…でも、覚めた時は酷く悲しくなるんだ。


自分は、おかしい。


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