魅力は…
相変わらずバレー部では練習の続く日々。
名前と研磨も相変わらずのんびりした時間を日々過ごしていた…と思っていた。
その過ぎた時間に、戻りたくても戻れるわけはない。
気づいた時には、遅かったのだ。
「名前ー!呼び出し!」
2年4組の教室全体に聞こえるほどの大きな声で友人である結羽が呼ぶ。
「先生?」
「冗談言ってないで行く。」
ビシッと彼女が指をさす。
そこには見たことない人の姿。
…最近、急に増えた気がする。
正直、話したことのない人にどこを好かれたのかわからない。
でも、みんな口を揃えて言う。
一目惚れしました。って。
嬉しい。
それ以外ない。
でも、肝心な人に見てもらえない。
意味がない。
こちらにもちゃんと理由がある。
お昼休み、友人である心の付き添いで結羽と共に食堂へ来た名前。
近くでコソコソ話されている。
嫌な感じ…。
「苗字。」
「夜久の知り合い?!」
そちらから聞こえた声に安堵する。
名前は「夜久先輩。」と名を呼べば、その隣にいた男は「は、え?マネージャー?」と問いかける。
「そ。可愛くねぇマネージャー。」
「夜久先輩とは相性が悪くて良かったです。」
「ほらな。」
可愛いくねぇの。と皮肉っぽく笑うその顔にふいっと視線をそらせば、「カレシいんの?めっちゃ可愛いじゃん。」と声が聞こえる。
また見た目…どうしたらいいんだろう。
これじゃ自分にとって悪影響だとさえ思う名前。
そんな彼女を、夜久は見ていた。
「言われなれてんじゃねぇの?」
「…え?」
部活前、靴紐を結ぶ名前の隣に来た夜久が彼女を見るなり問いかけた。
お昼休みのことだと、察した瞬間ムスッとする名前。
「言われなれてません…急に増えたんです…」
「そりゃお前、それだけ魅力溢れさせてたら寄ってくるに決まってんだろー。」
と暴言を吐くだけはいて去っていった夜久。
相変わらず私のこと嫌いだな…夜久先輩は。
その背を見つめていたところに、黒尾がやって来た。
「名前、お前また告られたんだって?顔広めんのはいいけど程々にしとけよ?」
「…ごめんなさい。」
「え…いや、謝って欲しいわけじゃなくてだな…って…」
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