赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

チョコ好き?


パクリと、食べられるものだと思って差し出したはずのアップルパイ。
フォークごと手から抜き取られ、目を丸くした研磨にぎゅっと抱きつく名前。


「ねぇ研磨。」

「なに…」


身を離して研磨の目を真っ直ぐ見据える名前に難しい表情をした研磨。


「し…」

「変な事言わないで。」

「まだ言ってない。」

「言おうとしたでしょ。」

「…ん。」


ムッとした顔で、両手を広げる名前。
はぁとため息をついた研磨はその背に手を回した。


「…私、やばいかもしれない。」

「?」


ぎゅっと抱きしめる力を強くした名前。


「好きっ!」

「…なに。突然…」

「大好き!」

「うん。」

「研磨は?」

「…え?」


ガバッと距離を取られ、見つめられる。
研磨はいつもの如く視線をそらした。


「知ってるじゃん…」


その言葉に、真顔になる名前。
思い出されるのは、情事中の研磨の姿と声。


「…研磨って、やっぱり男の子なんだなって思った。」

「…やめてその話。」

「あのかっこいい研磨は…いつもかっこいいけど…もっとかっこよか…」


饒舌な口に、蓋をするように手のひらで彼女の、口を塞いだ研磨。


「それ以上言ったらもうしない。」

「っ…」


一瞬で、顔を真っ赤にした名前。


「アップルパイ、美味しい。」とフォークを取り、再び食べ始める研磨を見て、名前が問いかけた。


「ところで研磨、チョコ好き?」

「…あんまり。」


研磨の返事に、そっか。と微笑む名前に、研磨は首をかしげた。


-END-

リクエスト
『研磨とバレンタイン』


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