赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

いいよ


「誰に?気をつけるから、教えて?」


その言葉を聞いた研磨は、「言ったら、名前困るよ?」と言う。


「…研磨怒らせるより、全然いいよ。」

「…バスケ部の人。」

「バスケ……望月のこと?」


黙り込む研磨に「どこで見たの?」と問いかける。


「移動教室のとき、頭撫でられてるところ、見た。」


あぁ、そういえばそんなことされたかもしれない、とあまり気にもしていなかった本人。
恐らく、この気の緩みが、研磨を怒らせた原因だ。


「…それで、ヤキモチ?」

「…名前は、おれの。」


だから、キスマーク。
これで、全て辻褄が合った。

ムッとする研磨に、堪らず抱きつく。


「研磨!」

「…え…」

「好き?」


口を詰むいだ研磨。ふいっと顔を背けた。


「…言わない。」

「…じゃあ私も研磨につける。」

「…いいよ。」


ぐっと首元を開けた研磨。
顎から鎖骨にかけてのラインが、名前をドキッとさせる。


「う……」


研磨に色気を感じて近づき難くなってしまった。
動かない名前を不思議そうに見つめる研磨に、バツが悪そうに呟いた。


「…やっぱり研磨、変。」

「さっきからそうだって言ってる。」

「でも、変なわりに変なことしないんだね。」

「「……。」」


名前は、しまった…と思った。


「変なことって…?」


研磨の眉間に皺が寄せられる。


「いや…無かったことに…」

「しない。」

「してください。」

「無理。」


目の前の彼が動く。
でも、特に、何もない。


あれ?


「期待したって、顔してる。」

「…い…意地悪!」

「否定すればいいのに、」


名前はしないよね。と柔らかい表情を見せた研磨。


「変なことは、また今度。」

「え…」


また今度って…それは…私が考えてる変なことでいいの?


目で全てを訴える名前に、彼は「名前が考えてるのとは、ちょっと違うと思う。」と言う。


分からなくなった名前は、首を傾げた。


「じゃあ…なに?」

「さぁ?…でも…」


ジッと名前を見つめるその目を見返せば、そっと視線が外される。


「いつもとは、また違うと思う。」


なんてことを言う彼は…やはり、いつもと違ったんだろう。


-END-

リクエスト
『望月に嫉妬する研磨が見たい』


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