赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

好き?


移動教室のとき、よく見る。


…名前。


ちょうど、研磨が移動教室から帰ってきた時、隣の教室から数人の友達に囲まれて楽しそうに出てきた彼女の姿を見た。

女子二人は、いつも名前と仲良くしてる二人。
もう二人は男子で、一人は知ってる。


名前のことを好きな、バスケ部の人…。


ただ、彼女はいつものようにしているだけなのかもしれない。
でも望月が彼女の頭を乱暴に撫でる姿を見て、研磨は僅かな苛立ちを感じた。
彼女はムスッとした顔を隣の彼へ向ける。

研磨はその背を見つめながら教室に入る。


…同じクラス。


研磨のクラスは隣といえども二年三組。
時間割も違えば、教室も違う、クラスメイトも違う、担任も違う。


何より、授業を受ける、名前の姿を見ることが出来ない。


…真面目に、授業受けるのかな。


ちょっとしたことで、研磨の脳内は彼女の姿でいっぱいになっていく。


…名前のことだし、寝そう。


そう言えば、寝てる彼女は見たことがないな、なんて思う。


バスケ部のあの人は…見たことあるかも。


考えることを辞めた研磨は、ゲーム機を机の中から取り出す。


おれは、バレーで、セッターしかやった事ないし…
ゲームしか、出来るものないけど…


名前は、おれの何を好きなんだろう。





「えっ?全部!!」

「…もういい。」

「ちょ、ちょっ…研磨っ待って。」


放課後、部活の時間。
ボールを手に持つ研磨が、名前から視線を逸らすと逃げるように歩いて行く。
その腕を勢いよく掴んだ名前はそれはもう必死だ。

何せ、彼氏が変だから。


「怒ってるよね?」


名前の問いかけにチラッと視線を向ける研磨。
その視線に、ドキッとした名前は研磨の腕を掴んでいた手を緩めた。


「…おれのこと、好き?」

「っ…す、好きだよ?」

「じゃあ、それ、証明してみせて。」


「え、ここで?」と少し戸惑う名前に、研磨は「じゃあ、部室行こう。」と彼女の手首を掴んだ。


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