赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

垣間見える


一方、逃げた研磨の顔を覗き見るのは、黒尾。
その視線から逃れようと身を捻ってまで顔を背ける研磨。
黒尾はにやりと不敵な笑みを浮かべる。


「照れるんなら言うなよなぁ。」

「…クロにはわからないよ。おれの気持ちなんて…」

「お?」


壁際に座り込むなり、顔を膝に埋める研磨。


“触れたい。”

そう、一瞬思うと手の力が入ることがある。
彼女の言葉や仕草にもよるけれど…何でも可愛いと思う。

思ってしまえば、触れたくなる。


どうしたら、いいのかわからない。


「垣間見える男の姿、だな。」

「放っといてやれよ…研磨に嫌われるぞ。」


「そうだな。」と笑みを浮かべる黒尾に、夜久は苦い表情を見せた。



「研磨さん。聞きたいことがあります!」

「…。」


黒尾と夜久がリエーフの声に視線を向ける。
研磨は据わった目を向けて黙っている。
そんな彼に構わずリエーフはニコニコと問いかけた。


「名前さんのどこが好きなんですか?」


研磨は視線を落としながら「全部。」と返事をする。
それを、聞いたらしい名前が「え。」と研磨たちの方を見た。


その声に研磨とリエーフも視線を彼女へ向ける。


「あ、名前さん!今の聞いてました?」

「…バカ。」

「えっ何でですか?!」


研磨が面倒くさい時の表情をしてリエーフにボソッと言い捨て、名前を手招きする。
恥ずかしそうに、そして、嬉しそうに研磨に歩み寄っていく名前。


「さっきの…」

「アレでよかった?」

「え?」


よくわからない疑問形な言葉に首を傾げる名前。


「リエーフにはああ言ったけど、ちゃんと好きなところあるから。」

「全部じゃなくて?」

「…全部って言われた方が嬉しい?」


そう言われて考える名前。


「おれだったら、ちゃんと好きなところ伝えてくれる方が嬉しいかな、と思ったけど…名前がそれでいいならそう言う。」

「えぇ…研磨、もう面倒くさくなってるでしょ?」


名前を見て、少し首を傾げる研磨。


「名前が好きなのには変わりないし…。」


それを聞いた名前は、嬉しそうに口角を上げた。


-END-

リクエスト:甘い研磨がみたい


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