デジャヴ
「なーんか、どっかでこういうことあった気がすんだけど…いつだったっけか?」
黒尾が無視され続けている現在、じーっと研磨を見つめる。
その隣に名前が現れた。
黒尾を見るなり、すっと横を通り過ぎていく彼女の腕を思わず掴む。
「名前ちゃん。」
「…おはようございます。」
ムスッとした顔の名前を見た黒尾が「え、俺何かした?」と問いかけるが、名前はフイッと顔を逸らし「何も。」とご立腹な様子を見せる。
「…はぁ?」
「お前何したんだ?研磨に何か言ったんだろ。」
「言ってねぇよ…マジで。」
夜久が二人の様子を見て呆れた顔を黒尾へ向ける。
黒尾には心当たりがないことは当然である。
二人にしか、それはわからない。
「…名前。」
手招きされ、研磨に駆け寄る名前。
「クロに変な態度取らないで…」
「それは研磨もでしょっ」
コソコソ話す二人の背後から、忍び寄る影。
「なぁ、何があった?」
「「!!」」
振り返れば、そこには頼れる先輩、夜久の姿。
研磨と名前が目を合わせれば、「邪魔された。」とだけ夜久に言う。
夜久は「は?」と聞き返す。
もちろん、その言葉だけでわかる者がいればエスパーになれる。
しかし、彼女の名前からも「邪魔されました。」と告げられてしまえば、話は別なものとなる。
夜久は、「マジで?」と二人に確認を取る。
「…黒尾。お前最低だわ。」
「は?!なんでだよっ」
「邪魔するなんてな〜最低以下の人間だわお前。」
夜久が一方的に黒尾を責める。
その言葉で、心にぐさぐさと痛みを味わわされた黒尾を見て研磨は
「これで、ゲームのことはチャラにしてあげる。」
と呟いた。
-END-
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