赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

わかりました!


合同合宿2日目となった翌日。
体育館でいつも通り行われていく試合形式の練習。
烏野サイドから研磨の元へ駆けて行こうとした日向がぴたりと立ち止まり踵を返した。

その姿を見ていた田中が「どうした?」と声をかける。
日向は「いや…」と頭を掻く。


「研磨のところに行こうと思ったんですけど…彼女と喋ってるところに邪魔しちゃ悪いなぁと思って!」


えへへ、と笑う日向の言葉に、視線を向ける田中。


研磨と話す、日向の言う彼女というのは…名前の姿。


「んっ?」

「?」


田中の反応を見た日向は首を傾げる。
その瞬間、ガシッと日向の両肩を掴むと物凄い剣幕で「ケンマって…音駒のセッターの?」と問いかける。

日向は恐ろしい顔をしている田中に引きながら「そ、そうです!」と返事する。


“音駒に彼氏がいたはず”と縁下の話から昨日から目を凝らして探していた“彼氏”の正体が判明し、田中は項垂れた。



その頃、噂の二人は話をしていた。


「い、言ってくれなきゃわからない!」


名前が言うのは昨日の“よそ見してる暇、あるんだ?”という研磨からの言葉だ。
彼は名前を見て「リベロ。」と一言言う。


「リベロ…」


傍にいたリエーフが「あ。」と思い出した。
様子がおかしかった、あの時のことを。


「烏野の。話してたでしょ。」

「西谷くん?」


やっぱり…黒尾先輩が言っていたのは本当?と研磨を見る名前。
リエーフがその二人の間に割って入る。


「研磨さん!俺わかりました!昨日研磨さんがおかしかったのは、ヤキモチっすね!」

「…。」


リエーフを見てため息をつく研磨は“やっぱり、バレなさそうな人にバレてた”と心の中で呟く。
「え?やき…もち…て…」と彼女は理解をしていくにつれ頬を赤くしていく。
本当に、そうだったの?アレ?と思う名前。

バツが悪そうに研磨は


「名前は、おれを見る暇しか…」


「ないでしょ?」と言ってそこから立ち去る。

その場に残された名前は両手で口元を覆い、リエーフは「おぉ!!」と少し驚いた様子を見せる。


彼らを遠いところから見ていた黒尾がふっと笑う。


「研磨、男らしくなったよな。」

「名前と付き合ってからほんと変わったよなぁ。」


海が黒尾の隣に来るや否や研磨を目で追う。
その研磨に駆け寄っていった日向。


「自主練の時トス上げてくれっ!」

「えー…いやだ。」


ん……?


「まぁ、全部はさすがに…無理か。」と海が柔らかい笑みを浮かべながらそう言った。


休憩に入り、ボトルを黒尾に手渡した名前に、


「もうちょい自主練するように変えてくれね?」


と言ったが、名前は「え?」と首を傾げる。


何年かかってもそれだけは変えられねぇだろ、と傍で聞いていた夜久が心の中で呟いた。

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