変えたのは
「俺を見とけってことだろ。」
「っ…」
「俺じゃねぇぞ。」
「わかってます!」
名前が相談した相手は主将の黒尾だ。
先ほど言われた言葉は、やはり研磨にしては驚きの一言。
黒尾も頭を掻き、「まぁ、驚かされたな。俺も名前も。」と言う。
「今朝から気づいてはいたんだけど…な。」
「えっ今朝ですか?」
黒尾の言葉に名前は「その話もっと詳しく話してください。」と言わんばかりに詰め寄る。
「烏野のリベロと喋ってたろ?」
「あ…はい。」
頷く名前は今朝西谷と話した時のことを思い出す。
「あの時、研磨が気にしてたぞ?」
「……。」
まさか、ヤキモチ?
両手を口に当てる名前を見て黒尾は「嬉しいんだな?お前は。」と苦笑いをする。
「嬉しいに決まってるじゃないですか!それだけ研磨は私のこと…って…」
今までのことを考えてみれば、ヤキモチをやくことはたまにあっても、口にすることはなかったな、と思う。
それを今回は「よそ見してる暇、あるんだ?」と、ハッキリではなくても、直接言って来た研磨。
名前が視線を上げると、黒尾も察したように笑みを浮かべた。
「…雪が、降りますかね?」
「おい、彼女だろ。」
「?」
「名前が変えたんだろーよ。研磨を。」
黒尾の言葉に名前は口を開けたまま固まった。
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