赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

烏野リベロ再び


「研磨ー!」


日向が研磨に気付き駆け寄る。
その様子を見守っているところにどこからかボールが転がって来た。

それを手にするとパタパタと駆け寄って来たボールの持ち主に手渡す。


「あ…」


相手を見て、固まる名前。


「あー!名前さん!」

「西谷くん。」


烏野高校リベロの西谷だった。
以前の合宿で仲良くなった二人。

名前は親し気に西谷と話す。
その様子を見ていた黒尾が「へぇ〜」と関心する。


「何?」


烏野高校の主将、澤村が黒尾の関心の先を見る。


「おたくのリベロ…うちのマネージャーに話しかけてる。」

「えっどこっ」


慌てる澤村。
しかし、黒尾がそれを制した。


「いや、ちょっと待て…」

「?」


黒尾の視線の先には、研磨の姿。
彼は日向とリエーフと話しており全く彼女は視界に入っていない。


ニヤニヤする黒尾を見て澤村は「おい、何なんだ?」と首を傾げる。


「研磨の成長が見られるかもしれねぇ。」

「?」


黒尾はふっと、何かを企んだ笑みを浮かべた。


「元気してた?」

「元気元気〜!」


西谷と名前が話している姿を見た田中が「の…ノヤが音駒のマネージャーと喋ってる…!!くそっ羨ましいっ」と言っている傍で縁下がふと思い出したように言った。


「そういえば…音駒のマネージャーって…前の合宿のときに噂なってなかったっけ…」

「はっ何の噂だ?!ノヤを好きだって噂か?!」


田中の正常な判断力に欠けた言葉にため息をつく縁下。


「違う違う…音駒に彼氏がいたはず。」

「…え?」


グリンっと首を回すと、相変わらず花が咲いている二人の周り。
田中は冷静になって考えた。


音駒に彼氏ってことは…
あの怖そうな主将か…それともリベロの夜久さんか…。


うーんと唸りながら考えている田中の元に「田中さーん!」と駆け寄ってくる日向。
どうやら研磨とリエーフとの話を終えたらしい。


研磨は日向の背を目で追いながらリエーフに視線をやる。
その視界に入ったのは、西谷と親し気に話す彼女の姿。


「……。」

「…研磨さん?」


リエーフもその視線の先を追う。


「アレって…烏野のリベロの人。」

「…名前、」

「?」


研磨の呟きに視線を落とすリエーフ。


「楽しそうだね。」


目を少し見開いたリエーフに、背後から夜久が声をかけた。
返事をして、研磨をもう一度見たが普段の彼だった。


首を少し傾げて夜久に駆け寄った。



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