確認
翌日、すっかり元気になった名前は元気よく登校した。
朝の体育館にはいつも通り部員たちが準備を始めている。
「あ。」
背後から声がして振り返ると、「おはよ。」と言った研磨の姿。
その直後、視線を落としてから「ちょっとい?」と手招きをする。
「?」
名前はそんな研磨を不思議に思いながら背を追いかけた。
部活が始まる前、朝練をしている部活はあまりなく、静かな校舎内外。
人が通らないであろう一角で、研磨が「きのうのことで話。」と言えば名前は「きのう?」と首を傾げた。
「名前は、おれに…」
「うん…」
じーっと研磨からの言葉を待つ名前。
視線を受けている研磨は視線を落とした。
「触りたい、とか、思う?」
静かに呟いた研磨の言葉を聞いた名前は素直に「うん。」と頷く。
「ホントに?」
「思うよっいつも思ってるよ?何で?」
研磨は昨日の黒尾の言葉は本当だった、と確認した後、「きのう、謝ってごめん。」と言う。
あの時、研磨が謝ったのは、触れたいという気持ちから来たものだった。
名前の気持ちを聞かずに勝手にしてしまったことに悪いことをした、と思っていたからだ。
名前はそれを察したように笑うと「研磨って可愛いよね。」と言う。
またか、と思う彼はもう何も言わない。
「じゃあ…勝手に、触ってもい?」
その問いかけに名前は視線を天へ向けた後、満面の笑みで
「じゃあ…私も勝手に触ってもいい?」
と問いかける。
「え…それは無理。」
「無理じゃないでしょっじゃあ私も無理ーっ」
冗談っぽく言う名前にふっと笑う研磨。
「好きな人なんだから、触りたくなるの普通だよ?だから研磨は私に最近よく触ってくれるようになったんだと…」
「やめて。」
研磨は饒舌に離し始めた名前にストップをかけた。
彼女は「恥ずかしい?」と問いかける。
じろっと睨まれてしまったので黙り込んだ。
[ 53 / 88 ]
prev | list | next
しおりを挟む