赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

じわじわと


「へっくし…!」

「…おい、大丈夫か?」

「うーん…」


2年4組。
朝練を終え、お昼休みに入った。
いつものメンバーで食べる名前の隣を通った望月が顔を引き攣らせながら問いかける。

どこか、様子がおかしい彼女に溜らず声をかけたのだ。
鼻をすする彼女。


「…なんか、ボーっとするかも。」

「え?大丈夫?」

「熱あるんじゃないの?」


そう言って名前の額に手を当てた心。


「だめだこりゃ。」

「え?なに?」


心は結羽に何か言っている。
名前はぼーっとただその光景を見ていた。





気がつけば、真っ白な天井と独特な薬品のにおいがする場所にいた。


「…あ。起きた?」

「…誰?」


頭がガンガンしている。
身体は熱くて、とても重い。

声が遠くて聞こえにくい。


名前の視界に入って来たのは、大好きな人。


「研磨…」


手を伸ばすのもつらい。
そんな状況にも関わらず、名前は研磨の金色と黒色混じりの髪に手を伸ばした。


「無茶し過ぎ。」

「えへへ…」

「笑いごとじゃない。」


心配した。と言葉にはしないが、表情を見ればわかるし…
授業中だと思われる静かな廊下でわかる…

心配してくれたんだということ。


「今日、寝坊したのだって、身体がもっと休ませろって言ってた証拠だと思う。」

「だって…みんな困るよ…いろいろ。」

「名前いない間誰がマネージャーの仕事してきたと思ってるの?」

「…1年生は、何もできないよ。」

「…。」


ああいえば、こういう。
熱のある彼女の思考は、こういうことだけはしっかり回っているようだ。

研磨もため息をついて、それ以上のことは何も言わなかった。

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