赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

自主練習


「名前。」

「はい?」

「ちょっと練習付き合ってくれ。」

「えぇっ」


自主練習の時間、黒尾に呼び止められた名前。
まさか、練習のお誘いを受けた。


「いや、お前最近運動してねぇだろ?」


マネージャーをする前は少しの時間でも運動していた彼女を思ってのお誘いをした黒尾。


「運動…いえ、してます。」

「…は?」

「え?」


黒尾は口元に手を当て考える素振りを見せる。
その姿に首を傾げる名前。


部活終われば夜の19時。
そこから着替えたり帰ったりすれば20時前だろ?

…いつしてるって言うんだよ?


そんな黒尾の思考を読むように夜久が「コイツ、部活の後そのまま近所の屋内プール通ってんだぜ。」と教える。

その言葉に、ハタッと固まる黒尾。


「…プール?」

「はい!年中泳げるんですよ?屋内なんで。」

「へぇ〜研磨は?知ってんのか?それ。」


まぁ、あれだけ運動好きな奴がマネージャーだけして大人しく帰ってると思ってる方が変だったか、と考えを改める黒尾。


「はい。この前研磨誘ったんですけど…」

「断られるだろ?」

「はい…」


「“名前と違って練習した後なんだけど…”ってダルそうに言われました。」と夜久と話す名前。


「…じゃあ、お前自主練の時、俺らに混ざったらいいんじゃねぇ?」

「…え…いいんですか?!」

「お、おう。」


黒尾に目を輝かせて食いつく名前。
まさかここまで喜ばれると思っていなかった黒尾と夜久は苦笑いをするしかなかった。

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