赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

文化祭午後C


一方、黒尾と研磨は木兎を案内している最中だ。
ルンルンな木兎の手には花…ではなく、食べ物が持たれていた。

研磨はトボトボとダルそうに二人の背をついて行っている。


「ん?アレなんだ?」


そう言った木兎の視線の先を見る黒尾。


「…なんだあの女子の群れ…。」

「言い方。」


研磨は黒尾に難しい顔を向ける。


「なんか楽しそうだから行ってみよーぜ!」

「お前は早く保護者探さねぇとだろ。」

「誰が子供だ!!」


木兎と黒尾が言い合うその先をジッと見る研磨。


「…夜久くん。」

「「え?」」


二人は後ろで呟いた黒尾を見る。
研磨は「え?だから、あの中、夜久くんがいるけど…って。」と群れを指さす。


黒尾は「ってことは…名前…は、どうした?」と考える。

研磨はその言葉を聞いて「行ってみる?」と群れを見た。




一方、名前は危機に見舞われていた。


知らない制服を来た男子に腕を掴まれたまま固まる名前。


「やばい…ドストライク。」

「っ…話してください。」

「えっ声もドストライクなんだけど。」


どうやら一人らしいその男は名前の腕を離そうとはしない。
チラッと夜久の姿を見るもすっかり囲まれており誰に助けを求めようにも周りには人が全くいない。


「…ねぇ、ちょっとでいいからさ?付き合ってよ〜」

「無理です。離してくださいっ」


そう言って相手の腕を空いている手で掴むもびくともしない。
段々、恐怖心が増してくる名前。


その姿を、発見した黒尾たち。
黒尾は苦笑いし、研磨はげんなりした顔で見る。

木兎は「うおっ名前ちゃんが捕まってる!!」と叫ぶ。

黒尾が「ハイ、手離してくださーい。」とその男の腕を思いっきり掴んだ。
研磨はその男に見覚えがあった。


今朝、学校を来る前、駅を降りた時、目の前に他校の制服を来たガラの悪そうな人たち。


『音駒の文化祭で彼女ゲットする!』

『まぁ、それ目的で他校行かなきゃ何のために行くって話だよなぁ〜。』


「…カノジョつくるなら、カレシいない子にした方がいーと思うけど…」


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