赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

どうにかして


彼女は一体どうしてこれほどに自分が視線を浴びているのだろうか、と一歩後ずさる。



「か…かわっ…!」

「かわいいっすね!名前さん!」

「「…。」」



山本が言おうとした上から平然と言ってのけたリエーフに部員たちが一斉に視線を向ける。
リエーフは周りを見て「え?何か俺変なこといいました?」と問いかける。


リエーフの言葉を受け、名前がへへっと可愛らしく笑う。
それに射抜かれるは部員たち。

研磨が前に立っている黒尾に呆れ顔を向ける。
黒尾が「おい、お前らー話の途中だ。」とその場を区切った…はずだった。



「研磨ぁ〜お前ずるいぞ!!」

「俺にも名前さんください!!」

「それは無理だろ…」

「俺も名前が欲しい。」

「…。」


山本、リエーフ、夜久の冷静な言葉、そして黒尾がどさくさに紛れて湧く。
研磨は黒尾に裏切られ、名前を見た。



「どうにかして。」



主将共々を指さす研磨。
名前は「うーん…」と唸ると…



「じゃあこの髪、ほどけばいいですか?」

『えっ』



「絶対だめっす!」とリエーフが首を振る。
彼らの言う可愛いとは、名前がいつもとは違う可愛い纏め方をしていた髪型にときめいて言っていたのだ。


「でも、何で今日はいつもと違うんだ?」


素直な夜久の疑問に、名前が苦笑いをした。


「さっき委員会で、試しに髪を結わせて欲しいっと言われまして…」


聞いたら納得したようで、夜久が「女子は大変だな。」と呆れる。


「研磨のためでもなければ、お前らのためでもねぇってことだな。」


黒尾が黙って聞いていた研磨に不敵な笑みを向けたが、「…余計なこと言わないで。」と冷めた目で言われていた。

部員たちの視線は相変わらずマネージャーへ向けられている。


「前振りでわかったヤツもいると思うが…今から文化祭、何するかを決める。」


仕切り直した黒尾に、さすがの部員たちの注目もそちらへ移る。


「あ…俺、いい案思いつきました。」


そう言ったのは、山本猛虎だった。


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