赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

文化祭F


『やっべぇ超絶可愛い誰?』

『ここバレー部の模擬店だろ?ってことは…マネージャー、とか?』

『いや、アレ、マネージャーだったらぜってぇ彼氏いる!』

「…ご注文は?」

『ひぃっ』


開店して1時間。
長蛇の列は未だ絶えず…絶えるどころかむしろ増加していた。

店内では名前の姿を一目見ようとお店に足を運ぶ男子ばかり…と言いたいところだが、女子も多く座っている。

その視線の先は…


『背高いしイケメン…!』

『バレーしてるとこ見てみたい…』


高身長ハーフイケメンのリエーフと


『黒尾先輩きょうもかっこいい…』

『ウェイター姿がさらにカッコよさを引き立ててる。』


後輩からモテモテの黒尾主将だ。


山本はいろいろと腹立たしいのかコソコソと話す男子のテーブルに苛立ちを醸し出した顔をさらけ出して注文を取る。
もはや、恐怖心しか与えない。


「ちょっと、虎。お客減る。」

「ぐっ…」


背後を通った研磨が山本の背に向かってそう言う。
山本は無理矢理作り笑いを向けた。


「ご、ご注文は?」

『あの、そこのモヒカンの…』

「はい?」


モヒカンと言われてそちらへ作り笑いのまま顔を向ける山本の視界に入ったのは他校の制服を来た女子が手招きをしている。


「!!」


俺の時代が来た!!


山本は瞬時にそちらへ身を寄せ「ご注文ですか?」と問いかける。


その女子はニコッとして「ううん。」と首を少し傾げた。


「あのプリン頭の子。呼んでくれないかな?」

「…。」


プリン頭=研磨

山本はぴしゃりと思考を遮断した。


「すみません。うちは指名制のホストではないので失礼します。」

『えー?ケチー』


暗幕の中で注文のカップケーキをトレイに置いている研磨に山本がため息をついた。


「どうして俺は…モテないんだ。研磨すらモテるのに!!」

「失礼すぎだろ。」


黒尾が暗幕を捲って苦笑いをしていた。
「名前」とマネージャーを手招きする。

パタパタと走る彼女を見た山本が固まる。


「…あの名前さんが研磨を好きなんだもんな。悪い、研磨。」

「??」


中で調理を担当していた福永が不思議そうに山本を見ていた。

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