赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

文化祭D


文化祭開会式の放送がかかっている最中、リエーフがあることに気付く。


「あれ、名前さんは?」


びくりとする黒尾。
研磨は無反応に徹している。


「あー…いや、中にいるんだけど…。」とチラッと研磨を見るも、研磨は黒尾に背を向けた。
黒尾は困った顔をする。

その間にリエーフは「いるなら早く呼びましょーよ!メイド服姿の名前さん楽しみなんですから〜」と暗幕へ近づく。
その背を追うように山本と福永も…。


「あ!バカッやめっ…」


黒尾の制止も虚しく、シャッと勢いよく開かれた暗幕。
その中を見る3人。

座っている名前が視線を上げる。


「…はうあ…」

「名前さん?!」

「…。」


山本は悩殺されその場からふらふらとした足取りで立ち退くと研磨の元へ。
リエーフは目を輝かせ暗幕の中へ入っていく。
その背を福永も黙ってついていった。

その様子を見てため息をついた黒尾。
そして山本は研磨に「研磨ぁ…お前はズルい…!ズルい!!」と叫ぶ。


「なにが…」

「何がじゃねぇ!しらばっくれんじゃねぇ!」

「…こわいから…」


キレる山本に引く研磨。


「ちょっとでいい!俺にもあの可愛さを分けてくれー!!」

「…。」


うるさいな…と眉間に皺を寄せた研磨はため息をつくなりその場を立ち上がる。
トボトボと気だるげに暗幕の中へ入っていく。


中ではリエーフが「名前さん超絶可愛いっす!!」と彼女の周りをうろうろしていた。
名前はリエーフを見上げて苦笑いしていたが、その視線が研磨へ向けられ「研磨?」と呟く。


「ちょっと来て。」

「?研磨さん?名前さんをどうする気ですか?」


名前の手首を掴むなり暗幕から出ると、黒尾がその姿に目を見開く。
リエーフと福永も釣られるように教室へ出てきた。


「ほら、虎。」

「え?」


顔を上げる山本の目の前に、名前の美脚が広がる。
ゆっくり視線を上げていけば名前がその場に座り込んだ。


「どうしたの?体調悪い?」

「…っ…名前さん…」


そう言って涙目の顔を彼女に見せた後、鼻から血を流した。


「えっ?!ちょっ…山本くん?!」


慌てて暗幕の中へ入ってティッシュを取りに行った名前。


「ここでもマネージャー発揮か。」


呆れる黒尾の元へ、来客が訪れた。


「おい、お前ら何やってんの?廊下すげーぞ。」

「あ!夜久さん!」


「ちょうど通りかかったらスゲェ長蛇だからビビったわ。」と教室へ入ってくる。
黒尾が「あー、じゃあそろそろ開店しますか。」と腰に手を当てる。


「あの長蛇の原因は何?」と黒尾に問いかける夜久。
「あぁ〜…」と頭を掻く黒尾。

その姿を見て首を傾げると、バタバタと暗幕の中から姿を現した名前。

ティッシュを持ったメイド服姿の超絶可愛いマネージャーの姿。


「…は?」

「え?」


夜久は「えっと、誰?」とマネージャーを指さした。

[ 31 / 88 ]
prev | list | next

しおりを挟む