赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

文化祭C


「え…」


一方暗幕の中では研磨の目の前にいる彼女の姿に驚いて視線を落とす。


「へ、変?」

「変じゃないけど…」

「けど?」


言葉を濁す研磨に名前は詰め寄る。
しかし、研磨は言い難そうに口を詰むんでいる。


「困る、かも。」


ちらっと視線を上げた研磨の恥ずかしそうにした表情と言葉に息を飲んだ名前。


「おーい名前。お前のせいで…って、研磨。」


列の様子を見て戻って来た黒尾が暗幕の中へ入って来た。
研磨の姿を見てピタリと動きを止めたが、その視線が見つめた先で彼はフリーズする。

研磨の表情が一変した。


「どうだったの?列。」

「あ、え?なに?」

「だから、列。どうだったの?って。」

「あー、それが名前目当てらしくて…」


会話をしながら暗幕から出ていく二人。
置いてけぼりを喰らった名前は数秒固まる。


“困る、かも”


あれって、どういう意味?


暗幕から出た黒尾と研磨。


「「…。」」


黙る二人。


「…あれは、出したらやばいやつだろ?」

「だと思う。」


黒尾の脳内には先ほどしっかり記憶したメイド服姿の超絶可愛いマネージャーの姿が映し出されている。

研磨は至って、普通の様子を見せた。


「おれ…困るんだけど。」

「いや、俺もどうしようか困ってるわ。今。」


黒尾と研磨の混乱状態は数分続いた。

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