赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

文化祭B


その騒がしい廊下に気付いたのが山本だった。
丁度名前が姿を消したとき、山本が廊下に出てメニューの看板を立てに廊下に出ていた。


「あの、黒尾さん。」

「どした。」


山本は看板を立て終えると教室に入り廊下を指さす。


「廊下に男子がすんげぇ集まってますけど…」

「は?」


「ちょっと様子見てくるわ。」と廊下に出た黒尾の背を不思議そうに見つめていた研磨はそろそろいいかな、と暗幕で作られた壁の向こうにいる彼女に声をかけてみる。


「名前、そろそろ入ってもいい?」

「!!」


名前はまさか一番初めに研磨に見られると思っていなかったため、あたふたとする。
でも、結局いつになっても見られてしまう運命。


「いいよ。」


そう答える。
ドキドキと高鳴りを増す心臓の音と、暗幕の捲られる瞬間に恥ずかしさは増すばかり。

研磨は「入るよ。」とだけ言うと暗幕を捲って中へ入った。


廊下に出て様子を見た黒尾は顔を引き攣らせた。


「なんだこれ。」


どういう状況でこうなった?と問いかけたいほどの男子生徒の縦列。
黒尾はその列を見ながら知っている顔を見つけ出そうとしていた。

そんな黒尾の姿を見かけた女子生徒がきゃっきゃと騒ぐ。


「黒尾先輩?!」

「かっこいいっやばいっ」


ウェイターの恰好をした高身長の彼は女子の目を引くものに間違いなかった。


「あ、なぁ、これなんでこうなった?」


列の中にクラスメイトを発見した黒尾。
声をかけられたクラスメイトは目を見開き「黒尾?」「お前、見違えたわ。」とケラケラ笑う。

「ドーモ。」と苦笑いをする黒尾は「それより…」と列を見る。


「この列はナニカナ?」

「いや、なんかすんげぇ可愛い子いたって話!」

「マネージャーか?」

「メイド服着てたって言うから一目見ようと思ってさ。」


黒尾の問いかけに並ぶクラスメイト3人は口々に訳を話す。

それを聞いた黒尾はにやりと笑う。


「なーるほどね。」

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