赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

文化祭準備


体育祭を終え、校内は文化祭の準備モードに入っていた。
もちろん、部活で出し物をするところは部活をしつつ準備をするため…とても、いや、かなりと言っていいほど忙しい。


男子バレー部も練習を少し早く終えた後、準備に取り掛かっていた。
といっても、それほどすることはない。

部室に集まり、教室の机の配置や、人員の動かし方などを黒尾がどんどん説明を進めていく。そんな彼を見ると、やっぱり主将だなぁと思う部員たち。


「で、名前。お前、着たの?」

「ギクッ」

「ギクッて声出てます、名前さん。」


「俺もそれよくやります。」と隣に座っていたリエーフが笑う。

黒尾に言われて渡された衣装は、とても恥ずかしくて家で試着することを躊躇っていた名前。
黒尾からスッと視線を逸らす。


「着ねぇなら無理矢理着せてやろーか?そんで部員の前で公開処刑な。」


その黒尾の言葉によって名前は手をびしっと上げて「着ます!帰ったらすぐ!」と部員たちの前で宣言した。

黒尾は口角を上げると、「じゃあ注目してくれ。」と様々なことが記されている一枚の紙にみなが視線を向けた。


「午前は俺、山本、リエーフ、研磨、福永の5人で店番だ。午後は夜久、海、犬岡、芝山の4人な。で、名前は午前午後ともに出てもらう。思ってたより忙しくなった場合は全員店番だからな。」


それを聞いた夜久が「苗字1日中店番?」と黒尾に問いかける。
夜久に続いて研磨が「労働基準法違反。」と呟く。


「?なんすかそれ?」

「…。」


リエーフのきょとんとした瞳を見た研磨はげんなりとした表情でフイッとリエーフから視線を逸らした。

名前はその様子を見て苦笑いをする。


「まぁ、主にうちの看板娘だからな。一番活躍してもらいたい。」

「黒尾さん!」


きょうは一段と元気な様子を見せているリエーフが長い腕を上げてうるさい。
黒尾は「ん?」と視線だけを彼へ向けた。


「木兎さんは来るんッスか?!」

「あー…」


頭を掻き少し俯く黒尾が引き攣った顔を見せた。


「来るかもしれねぇな…来んなとは言ったぞ。」

「別にいーんじゃね?」


夜久の言葉に一同顔を見合わせて頷く。
黒尾は咳払いをすると、「来客はその時にどーにかすればいー話だ。」とその話は終了した。


「じゃあ、とりあえず…それで行くか…装飾はどうにかなるだろ…」

「俺たちにも衣装あるのか?」


夜久の不意の言葉に、部員たちが固まった。
黒尾は不敵に笑うと「もちろん。」と答えた。


「まさか、ウェイターの…?」と名前。

「それ以外何着せられるんだよって話か…」と夜久

「着ぐるみとかですかね。」と犬岡。


名前を筆頭に部員たちが口々に話はじめ、研磨ははぁと深いため息をついて「帰りたい。」と呟いた。

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