体育祭A
クラス対抗リレーは、学年だれもがわかっていた結果で終わりを迎えた。
大どんでん返しなんてこともなかった。
「こけなかったな。」
「本番には強いんですよ。私。」
再び招集場所へ行った先には、部員の面々が揃っていた。
試合でしか着ることのないユニフォームを着ている姿にはいつ見ても惚れ惚れする。
「夜久先輩目立ちますね。」
「いや〜お前も目立つだろ。逆に。」
「え…そうですか?」
夜久の白いユニフォームを見てニヤニヤする名前だったが、夜久がニヤニヤする番だった。
名前は自分の姿を見る。
「暑いのにジャージって…」
「いいじゃないですか!こうやって袖を捲って…前は開けて…どうですか?」
「おーかっこいいかっこいい。」
「こけんなよ〜?」
「この先輩たちは…舐めすぎです!マネージャーだからって!」
夜久と黒尾にいつもの如く弄られ奮起する名前。
「あんまり力ませると転ばすぞ?」と海に言われた黒尾と夜久は名前を見て吹き出した。
名前は「海先輩!」と矛先は海へ。
本人はニコニコしていた。
「私は有言実行するタイプなので!」
「やめとけって。120%だろ?それこけるから。」
「フラグだな。」
「っ…悔しい…何も言えない…」
前科がある自分には、黒尾と夜久の言葉に言い返せない。
もう、これは1位になるしかない。
先ほど研磨に言われた言葉を思い出し気合を入れなおす名前。
その様子を見て黒尾と夜久はそっと微笑んだ。
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