赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

体育祭


文化祭を一週間前に控えた体育祭。
クラス対抗リレーを目前に、プリン頭の研磨を発見した名前が捕まえた。


「研磨。」

「名前…」


振り返った研磨は「リレー出るでしょ。もう招集かかってる。」と招集場所を指さす研磨。
そんなことわかってますよ、と思いながら名前はニコニコしていた。

その顔を見た研磨は首を傾げて「なに?」と問いかけた。


「頑張れって言ってくれないの?」

「え。」


嫌な顔をした。
ばっちり見た名前はムスっとする。


「クラス対抗リレーだよ?」

「…だから、なに?」

「クラス違っても応援してよ?」


研磨のシャツを引っ張る名前を見て、研磨はフイッと視線を横へ逸らした。
その顔を見て、名前は俯く。


「…小池さん、応援するの?」


それを問いかけられてしまえば、言わざるを得なくなってしまった研磨は難しい顔をしながら口を開いた。


「ちゃんと見てるから…」


ぱっと顔を上げた名前。
研磨も視線を彼女へ移した。


「がんばってきなよ。」


たった200メートル。
走れば、秒台で終わってしまう。
でも研磨からの言葉は彼女の走ることに対してではなく、心に力を与えた。


招集場所に着けば、小池と目が合った。
フイッと逸らすと耳に届いた声。


「孤爪くんが、何であなたを好きなのかまだわかりません。」


小池のほうを見ると、こちらをしっかり見ている彼女の視線が合う。


「…私にも、それはわからないよ。」

「え?」

「確実にわかってるのは…」


口角を上げる名前。


「ちゃんと私を好きでいてくれてるってことだけ。」


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