赤いリボンの猫-続編-[完結] | ナノ

魅力磨き


部活を終え、帰宅途中の研磨と黒尾。
黒尾が名前と話したことを彼に話していた。


「知らないところで、見てくれてて、わかってくれてる。知られてる。でも、俺は名前のこと何も知らない。」

「リエーフのほうが知ってそうで怖くなる。」と呟く。
先日、部室でリエーフに素っ気ない研磨を思い出す黒尾。


「リエーフはお前と違って本人に聞く手法だもんな。お前は話されるのを待つ手法だけどな。」

「…だって、話したくないことだってあるでしょ?」

「それは優しすぎるよ、研磨くん。そんなんだからリエーフ相手に焦るんだよ?」


「…。」


ムッとした研磨はフイッと黒尾から視線を逸らして「別にリエーフに焦ってるわけじゃないし。」と呟く。

ニヤッと笑う黒尾。


「へぇー?」

「…何?」

「べつにぃ〜?」


「研磨くんも男だねぇ〜」とずっとニヤニヤしていた黒尾だったが、「あ。」と何かを思い出したように足を止めた。

「…なに。」と振り返った研磨。


「そうだ、忘れてたわ。お前に頼みてぇことがあんだけど…。」


研磨は嫌な目をした。








翌日、悩んでいた名前は教室にて相談していた心と結羽に宣言していた。


「小池さんなら、研磨にすぐ届くのかもしれない。釣り合って見えるのかもしれない。研磨を見てる時間は、私が一番多い。今、研磨の隣にいるのは、私。」


「だから…」と机を叩く名前。


「もっと魅力溢れる女になる!!」


「おぉ〜。」と二人が拍手を送る。
クラスメイトは大きな声に「なんだ?」と視線を名前たちに送っていた。


「でもさ名前。あんたそれ以上魅力磨くって、どこ磨くの?」

「まずは見た目から!!」

「げっ…まさか化粧してくるとか言うんじゃないでしょうね?!」

「え?ダメ?」

「ダメダメ!もっとモテるから!それ以上可愛くなったら孤爪困るから!」


結羽が首を振り、両腕を胸元でクロスする。
ダメの×だ。


「えー…そうかな?研磨、困るかな。」

「困る!」


結羽とそんな言い合いを繰り広げている名前の元に、当の本人が現れる。


「名前、噂をすれば…。」


心がドアのところで誰かを探す様子を見せている研磨の姿を見つけた。
間違いなく、彼女の名前だろう。

立ち上がると、丁度研磨の視線が彼女を捉えた。

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