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ロマンチックには程遠い
部活に休みなんてない。
私たちには当たり前の言葉で、良く言えば休みになった日は特別だ。

たとえ彼氏がいても、二人っきりになれることなんてなく、それでさえ特別なことである。


特別なことがダブルで重なり、研磨の家で二人っきりだというこの最高に特別な状況だというのに…彼はいつもと何ら変わりのない様を見せている。


「ねぇ、研磨。」


ゲームをしている研磨に近づくが、研磨は「なに?」と返すだけで視線は画面から上がらない。
研磨の肩に背を預ける名前。
眉間に皺を寄せる研磨。


「私ここにいる意味ある?」


「うん…ってか、重い。」


頷いたのはいいが、重いと言われてしまった名前。
頬を膨らませていると凭れ掛かっていた研磨がいなくなった…ような気がした。

頭がゆっくり落ちる。

あれ…?


視線の先には、研磨の視線。


「へ…ひざまくら?」


「…重いからそこにいれば。」


そう言うと、平然とゲームに視線を向ける研磨。
ジッと下から研磨を見る名前。

こんな角度から、研磨をずっと見ることができるなんて…レアだなぁ。


首筋…から、顎にかけてのライン…。


手をそっと伸ばすと人さし指でなぞる。


「!!なっ…にしてんの…」


「うえ…ごめん。」


人差し指を勢いよく捕まれてゲーム機からは-GAME OVER-という声が聞こえてきた。
研磨と数秒、視線が重なる。


「そんなに、構ってほしいの?」


「…だって構ってくれな…い…」


研磨は右腕を名前の背に差し込むとそのまま頭を上げて顔を近づけた。
ジッと目を開けたままの名前に、研磨は「…ちょっと、目閉じて。」と呟く。

慌てて目を閉じた名前にふっと笑うと、そのまま軽く唇を重ねる。


身を話すとゲーム機を手に取った研磨。
名前はそのまま研磨の腰に腕を回し、お腹に顔を埋めた。


「…うぅー。」


「お腹で唸らないで、変に響く…。」


カチャカチャとゲームを操作する彼の姿を見て、体を起こすとそのままぎゅっと抱きつく。


「研磨、もう一回。」


「やだ。」


即答されてしまっては、何も言えない名前。
そのままぎゅっと抱き着くと研磨は「これくらい、いいか。」と抱き着かせたままゲームをしていた。

-END-
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