最近、彼女の名前に触れたくて仕方がない。
部活が終わった後、マネージャーである彼女の腕を掴んだ。
触れたくて仕方がないと言っても、触れるだけでは当然ダメだ。
「名前。」
「赤葦…?」
彼女は不思議そうに赤葦を見上げるが、頬が赤い。
何も言わず名前に両腕を回せば、名前もそれに答えるように赤葦の背に腕を回した。
抱きしめただけじゃ、まだまだ足りない。
赤葦の腕が名前の腰から頬へ移動する。
ピクッと僅かに身を揺らした彼女は可愛い意外に何もない。
「…可愛い。」
「っ…あかっ…」
名前を呼ばれる前に、彼女の唇にそっと唇を重ねた。
腕に添えられた彼女の手に少し力が入るのがわかる。
「どうしたの?」なんて問いかけてくる名前に、「どうもしないけど?」と返し、今度は先程より深く唇を重ねた。
紅い頬、眉間に寄った皺、堪えるような声。
「んっ…」
恥ずかしいのか、彼女は声を漏らすとキスをやめてギュッと俺に抱きつく。
そして顔を隠したまま「恥ずかしい…」と呟く。
「…今更?」
「今更って…慣れるような回数してないじゃないっ」
反論する彼女が逃げないように腰に腕を回したまま、
「じゃあ…慣れるまでするよ。」
冗談とも取れないその言葉が彼女の思考をグルグル回す。
「ま…待って。そういう意味で言ったんじゃ…」
「言ったのは間違いなく名前。」
「前言撤回は無理だから。」と言えばまだ満足出来ていない彼女に唇を寄せた。
-END-
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