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不意打ちなんて何処で覚えたの
「っ…てんど…」

「ん〜?」


細い指が彼女の下顎に添えられ、そのまま幾度となく重なる唇。
腰に回る腕は次第に下降して行き…
スカートの裾に指をかけたところで名前が彼の名を呼ぶ。

名前はチラッと辺りを見た。


「ひ、人がいる。」

「え?」


ギョッとした天童はすぐさま彼女の向いた視線の方を見る、が、そこにはすでに人の姿は見当たらない。

ジトーッとした視線を名前に向けた天童は「名前ちゃん、もしかして嘘ついたっ?」なんて言う。

そんな彼に名前は据わった視線を向けた。


「…なわけないよネェ。」

「…。」


身を離した天童。
名前はスカートの裾を見つめた。


「じゃあ俺そろそろ行くネ。」


天童は階段へ向かって歩みを進める。

放課後、誰もいない場所での秘め事。


「天童…」

「ん?」


後ろを振り返り見た天童に「ちょっと…」と手招きをする彼女。


「なになにっいいものくれるのっ?」なんて冗談丸わかりなことを言いながら身を寄せた目の前の彼に手を伸ばす。


「…?」


頬を手で押さえながら天童は、名前を見た。
当の本人は恥ずかしそうに視線を落とす。


「…うひょー。今の不意打ちってヤツでしょっ?」

「っ…が、頑張ってね。部活。」


それだけ言うと、彼女は踵を返し天童とは逆へ向かって歩いていく。




部室で、名前からの不意打ちキスを思い出しながら首を傾げる。


「不意打ちなんて、どこで覚えたのカナ?」

「覚、行くぞ。」


大平に呼ばれ、しぶしぶ部室を後にした。


-END-
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