1年の灰羽リエーフ。
名の通りロシア人と日本人のハーフ。
手足が長く背が高い彼はそれは目立つ。
「研磨さん!研磨さん!」
「…うるさい。」
バレー部でも、目立つ。
研磨に懐いてしまったようで、ずっと彼にスパイクの練習を要求している。
しかし、見事に逃げられている。
名前はそんなリエーフを見てクスッと笑うと籠を手に持った。
諦めたリエーフはくるりと方向を変えると、視界に入ったのはたくさんの飲み物が入れられた籠を一生懸命運ぶ大好きなマネージャーの姿。
一目散に彼女の元へ行く。
「名前さん!大好きです!俺が持ちます!」
「え…いいよ…」
大きな声でリエーフが言うもので、部員たちの視線がチラチラと彼女の方を見る。
それが恥ずかしく、目の前で優しい言葉をかけてくれたリエーフにふいっと顔を背けた。
「持ちます!重いでしょ?」
「重くないよ。」
「なんでそんなウソつくんですかー。ってか俺の告白は無視ですか?」
名前とリエーフの様子を見ていた研磨が「ほんとうるさい。」と呟く。
海は「いつものことだけど…苗字かわいそうだな。」と苦笑い。
「…なんでそうヘラッと告白しちゃうの。」
「え、なんでっすかね?言わないと伝わらないでしょ?」
「リエーフは全身ですきすき言ってるみたいなものでしょ?」
「え?!」
「ぶっ」
二人の背後に、先ほど来た様子の主将の姿。
肩を揺らして笑っている。
「笑わないでくださいー!」
「だってお前、本気で名前のこと好きなのに…報われねぇなぁ。」
「うぅ…」
そんな二人の会話を他所に名前はよいしょよいしょと籠を運ぶ。
「おい。」
「え?」
黒尾が視線で名前を見る。
リエーフがその視線の先を見る。
「奪って来い。」
静かにそれだけ言うと黒尾は他の部員たちとともに準備を始める。
リエーフは駆け足でマネージャーの元へ向かうとその手から籠を奪い取った。
見上げる名前に笑顔を向けたリエーフ。
「やっぱり重いんじゃないっすか。」
やっぱり、近くで見ると背高いなぁ。とリエーフを見上げている名前。
ジーッと見つめられ、リエーフもさすがに視線を逸らす。
「あ、あんまりみないでください!」
「…へ…あ、ごめん。」
我に返った名前は恥ずかしくなりリエーフの手にある籠に視線を向ける。
「あの…」
「?」
見上げるとリエーフが真剣な目を向けていた。
あまりに突然でドキリとする。
「本気で、名前さんのこと好きですから。」
言葉を失うとは、こういうことをいうのか。
顔を真っ赤にした名前がふいっとリエーフから顔を背ける。
その反応を見ていたリエーフが調子に乗る。
「もしかして、名前さんも俺のこと好きだったりします?」
視線を挙げた名前が顔を赤くしたままリエーフを見ると、すぐ視線を反らして黒尾たちの元へスタスタ歩いていく。
その顔を見たリエーフは、その場に立ったまま顔を赤くした。
-END-
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