バレー部に彼氏がいる。
灰羽リエーフ。
日本人離れした容姿と高身長は校内にいてもとても目立つ存在。
彼はその身長と身体能力だけを生かしてバレー部のレギュラーまで昇りつめた。
恋人になった時は、全く彼のことを知らなかった。
彼が、「一目惚れしました!」なんて声を大にして言ってきたから、あまりにも予想外の展開に「面白い人だな。」と思って、好きになることは後回しに、彼が私のことを好きだと言うのだから少しずつ知っていって、好きになれたらいいな、なんて考えていた。
けれど、今はもう彼で手一杯だ。
バレー部って忙しいし、相手してもらえない。
そんなことを友達に言われたけれど…
実際、そんなこと全くなくて…むしろ…
「名前さん!聞いてくださいよ〜また夜久さんに怒られました…」
こうして、部活での出来事を暇さえあれば私の教室まで来て話していく。
「何して怒られたの?」
リエーフが怒られることには、必ず彼のおバカな原因があって
それを密かに私は楽しみにしている。
「名前さんの話ちょっとしただけなのに、“黙れ。惚気るな。”って蹴りを…」
夜久さんがリエーフを怒っている姿が目に浮かぶ。
くすっと笑うと、リエーフは「何も面白くないです!」と嘆く。
「だって、面白いもん。」
「…まぁ、名前さんが笑ってくれるならそれでいいですけどね。」
カッコいい顔をして、そんな言葉をサラッと言ってのける彼はずるいと思う。
窓から入ってきた風がカーテンと彼の髪を揺らす。
その頭を優しく撫でてから口角を上げれば、目の前の彼は目をぱちぱちさせて頬を少し赤くする。
「…名前さんズルいです。」
「ズルいのは間違いなくリエーフだよ?」
「え?なんでっすか?」
「何の考えもなしに私の心を
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き乱す。」
「え?」
首を傾げるリエーフに「ばか?」と問いかけると、彼は立ち上がり「バカって言う方がバカなんですよ!」と言う。
その言葉を聞いて、あ、本当の馬鹿だと思った。
「何笑ってるんですか?!正しいこと言ったはずなんすけど…」
「ばかだね、ほんとうに。」
「名前さんの方がバカなんですー!」
必死に言うリエーフにくすくす笑う名前。
「…名前さんが笑うと何でもいい気がしてきます。」
「それは気のせいだと思うなぁ。」
「わかってるし!」
油断するとこれなんスね。とヘラっと笑うリエーフを見て、愛されてるなぁと実感した。
-END-