うちのマネージャーは厳しい。
「黒尾!あんたがまとめないでどーする!」
「…すみません。」
ちょっと後輩たちと戯れていただけで、これだ。
「苗字さん、きょうもおっかない。」
「ほんと、おっかねぇ。」
研磨が嫌な顔をして言うから、ふっと笑った。
「研磨におっかねぇと思わせるアイツはホントおっかねぇな。」
コーチに何か話している姿を見ながら、黒尾はそうつぶやいた。
「黒尾さん!リエーフがいなくなりました!」
「はぁ?またか。夜久は?」
「探しに行きました!」
夜久のレシーブ練から最近リエーフが逃げることが増えた。
前に、「黒尾が見てないからじゃないのー?」と名前に言われたのを思い出し、苛立ちを覚える。
「俺も探しに行くわ。」
山本にそれだけを伝えると体育館を出る。
ちょうど夜久が体育館へ戻ってくるところだった。
「リエーフは?」
「お前の彼女のおかげで説教しねぇでよくなったわ。」
「え…それは、名前さんが見つけたということでよろしいのでしょうか?」
「気持ち悪いな。そうだけどよ…。」
リエーフ無事でいろよ…なんて半分諦め切った状態でリエーフの元へ向かった。
「あ、黒尾さ…いでっ」
「自称音駒のエースを名乗るならレシーブくらいしっかり練習しやがれ。」
「う…はい。」
反省の色を見せるリエーフに苦笑いをする名前。
「リエーフに怒らなかったのか?」
「黒尾が怒ると思って。」
「…へぇ。」
心配することなかったな、と思った。
そして、彼女は思ってた以上に俺を主将として立ててくれているんだと感じた。
帰路で黒尾と彼女の名前はバレー部の話をして、そして厳しい言葉を黒尾に与える。
黒尾は「あのさぁ…」とジトーッと重い視線を彼女に向けた。
「たまにはやさしくしてくれてもいーんでないの?」
「…。」
覗き込むと、彼女は目を丸くして俯いた。
久しぶりに可愛い姿を見たな、と思った。
「ん。」
「…?」
そっと、手を差し出した名前。
その手を見て首を傾げる黒尾。
「つなごうよ。」
「…。」
俺はそのまま、手を握り締めて彼女を抱き寄せた。
-END-
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