赤いリボンの猫[完結] | ナノ

大切に巻いてくれました


休憩中、タオルで汗を拭いながら名前の姿を目で追う黒尾。



『なぁ、研磨。』

「なに?」



座り込み、黒尾を見上げる研磨の頭を撫でまわす黒尾。



「…なにすんの。」



髪をくしゃくしゃにされ、そのまま睨み上げた研磨に口角を上げて見せた。



『お前から言ったのか?』

「違うよ。」

『名前か…。お前、わかりやすいな。』

「どういうこと?」



タオルを頭にかぶるなり、研磨はボトルに口をつけた。



『バレーにですぎ。』



ニッと笑う黒尾から視線を逸らす研磨。



『ま、アイツもアイツだけどな。』



黒尾の視線の先を研磨も追うように見る。

名前が髪を解いて、結びなおしている。
そして振り返るなり、研磨を見る。



『…お熱いねぇ。』

「うるさい。」



そんな二人の間にリエーフがやって来た。



『研磨さん!さっきはあざっす!』

「ちゃんと固定してもらった?」

『はい!名前さんが大切に巻いてくれました!!』

『ぶっ…』



リエーフの言い方に、黒尾は笑いを堪えきれず吹く。



「大切に巻いてくれたんだ?」

『やめろ。復唱すんな。』



研磨が首を傾げ、黒尾のその言葉にリエーフが『え、俺何か変な事言いましたか?』とへらへらしている。



『名前さん元気になったみたいでよかったっすよね!』

「…。」



どさくさに紛れてリエーフは実は知ってましたとでもいうような、鋭い観察力をさらっと出す。


研磨は面食らったように黙り込み、黒尾は『お前、まともなとこあんだな。』とリエーフに苦笑いを向けた。


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