赤いリボンの猫[完結] | ナノ

はやく体育館に帰りたい


研磨は、この前黒尾に言われた言葉を思い出した。



『お前が時穏に魅力を感じてるように、時穏も研磨が好きだと言うからには、それ相応の魅力は感じてるだろうな。』




…俺を、かっこいいって思ってくれてる。



俺は、名前のこと…。



「ん?」



目は、勝手に彼女を捉えてしまう。
どんな顔してる?
何考えてる?
全部を見てたい。


でも、一番見たいと思うのは…なんだろ。



「名前。」

「ん?」



俺の言葉に、興味を持ってくれてる姿勢…かな?



「け、研磨?」

「…。」



あ、違う。
この顔が好き。



「む、無表情は…なに考えてるのかわからないからやめてくれるとたすか…」

「…うん。いい顔してる。」

「…え?」



名前が俺の視線から逃れたくても、逃れることができない…
顔を紅く染めて、狼狽えてる名前が可愛くて好き。



「…研磨って意地悪だよね。黒尾先輩も夜久先輩もそうだし…まさか、みんなそうなんじゃ…」

「名前。」

「はい。」



研磨の、ハッキリ放たれた名前になぜか敬語になった名前は背筋を伸ばす。

その姿に笑う研磨。



「笑わないでよ…」



自分でも恥ずかしい姿を見られたと思っている名前は視線を落とす。



「名前が他の人の名前、言うから…。」

「…心臓もたない…。」

「…え?何?」

「…早く体育館に帰りたい!」



そんなことを言う名前に、ふっと笑う研磨だった。


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